虚偽・誇大広告に関連する事例

(1)データやグラフの抜粋,加工,強調その他恣意的な見せ方に関する事例

1次治療の違いを示さずに,「日本人には効果が高い」との説明を行った事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド
内容
院内説明会において,説明スライド中で,1 次治療に抵抗性を示した患者を対象とした 臨床試験結果が紹介され,全症例と日本人の症例の奏効率を比較したグラフで,「日本人には効果が高い」との説明を受けた。全例と日本人で顕著な差があったため,企業担当者に確認したところ,「1 次治療の内容が全例と日本人で異なることが理由かもしれない」との返答を受けた。 後日,審査報告書を確認したところ,両者の1 次治療の内容は大きく異なっており,全症例ではA 剤の投与が5 割台,B 剤の投与が3 割台であるのに対し,日本人の症例ではA剤の投与が2 割台,B 剤の投与が7 割台であった。審査報告書には,この結果を受け,「製造販売後調査において,1 次治療の種類別の安全性等に関する情報を収集することが望ましい」とする記載もあった。こうした条件の違いを説明せずに,試験結果のみをプロモーションに用いるのは不適切である。
ポイント
両者の前提条件の違いを示さずに,全例と比べて「日本人には効果が高い」と説明した。
国内試験の結果を示さず,海外試験の結果のみを根拠に安全性を強調した事例
医薬品の種類
抗精神病薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
院内勉強会において,本剤の副作用としてQT 延長の有無を企業担当者に問い合わせたところ,「海外試験では12mg/日の用量でQT 延長は認められなかったため,その懸念はない」との返答を受けた。しかし,審査報告書を確認したところ,国内試験かつ,より低用量の投与でQT 延長が発生していた。
ポイント
本剤に不利益となる国内試験の結果を示さず,海外試験の結果のみで安全性を強調した。
3群比較試験の結果のうち,1群または2群の結果のみをグラフで示した事例
医薬品の種類
脂質異常症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド
内容
院内説明会での説明スライド中において,審査報告書では3 群比較試験であった,有効性を示す複数のグラフについて,1 群または2 群の結果のみを抽出したグラフを示していた。3 群のうち2 群は本剤(低用量群,高用量群)であるが,TG 変化率等を比較するグラフにおいて,低用量群とプラセボ群のみの結果が紹介されていたので,審査報告書を確認したところ,投与量が増えても結果に大きな差異は見られなかった。 「本剤を増量しても効果に大きな差異はない」という情報も重要であり,3 群比較試験の結果としてきちんと説明するべきである。
ポイント
3 群比較試験のうち,1 群または2 群の結果のみを抽出してグラフを作成した。
対照薬を上回っている一部分のみを強調して説明を行った事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
新薬ヒアリングにおいて,対照群とのOS 率を比較したKaplan-Meier 曲線を示し,「本 剤の対照群に対する優位性は確認されていない」と適正使用ガイドにも記載されているにもかかわらず,本剤投与群が対照群を上回っている一部の期間を強調するような説明を行った。また同様に,「造血幹細胞移植患者では対照群と比較してOS 期間の短縮が認められた」と適正使用ガイドに記載されているにもかかわらず,OS 率が上回っている一部の期間のみを強調して,本剤の優位性を主張する説明を行った。
ポイント
本剤の優位性が確認されていないにもかかわらず,Kaplan-Meier 曲線のOS 率が上回っている箇所のみを強調して,本剤の優位性を説明した。
原著論文からの引用に当たり,特に重大かつ本剤に不利な情報のみを示さなかった事例
医薬品の種類
乾癬治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
新薬ヒアリング用資料
内容
新薬ヒアリング時に,その場限りの資料として,安全性に関する対照薬との比較試験の結果を示された。原著論文に記載されている結果をそのまま引用・翻訳していたが,そのうち「悪性腫瘍」の項目のみが引用されていなかった。「悪性腫瘍」は副作用として特に重大であり,かつ,本剤では発生したが,対照薬では発生しなかったものであり,原著論文を恣意的に引用したと考えられる。
ポイント
安全性について,特に重大かつ本剤に不利な情報のみ示さなかった。
主要評価項目である変化量を絶対値に変更してグラフを作成した事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
製品紹介パンフレットにおいて,「優れたHbA1c の低下効果が認められた」という記載とともに,主要評価項目の結果を示すグラフが引用されていたが,パンフレットのグラフは縦軸がHbA1c の絶対値であるのに対し,原著論文・審査報告書の縦軸はHbA1c 変化量であった。本来の主要評価項目は変化量であり,絶対値で示すことは引用に該当しない。
ポイント
主要評価項目である変化量を絶対値に変更して,グラフを作成した。
誤った凡例の記載やグラフの縦横比の調整を行った事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画
内容
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画で,本剤投与群とプラセボ群の血糖値の推移を表すグラフが引用されていたが,凡例が誤って逆に表示されていた。また,グラフが横長になるように縦横比が変更されており,変動が小さく血糖コントロールが良好であるという印象を受けるグラフとなっていた。
ポイント
グラフの引用に当たり,不正確な引用や縦横比の調整を行った。
原著論文からの引用において,恣意的と思われるグラフの選択を行った事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
製品紹介パンフレットに,本剤投与群で血圧の変化がなかったことを示すグラフが引用されていた。原著論文では,対照薬のグラフも合わせて掲載されており,国内用量の数倍の用量で使用されている対照薬においても血圧の有意な上昇は認められていなかった。しかし,パンフレットでは対照薬のグラフが示されておらず,本剤のグラフのみを引用することで,本剤のみが血圧上昇リスクが低いかのような印象を与えていた。
ポイント
対照薬のグラフを示さず本剤のグラフのみを掲載することで,本剤のみが血圧上昇リスクがないかのように見せた。
優位性を示すことができる副次評価項目の結果のみを詳細に紹介した事例
医薬品の種類
抗ウイルス薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
「ウイルス減少効果」にフォーカスした製品紹介パンフレットにおいて,主要評価項目 である罹病期間の結果は,数行の文章のみで紹介されており,対照薬との比較結果も示されていなかった。一方,副次評価項目である「ウイルス力価の変化量」及び「ウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間」は,グラフと文章で対照薬との比較を2 ページにわたり紹介し,本剤の優位性を強調していた。審査報告書を確認したところ,主要評価項目については対照薬との有意差がなく,データの示し方に恣意性が見られた。
ポイント
優位性を示すことができる副次評価項目の結果のみを詳細に紹介している。
有害事象の一覧として,臨床試験で多く認められた項目を示さなかった事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事
内容
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事において,第Ⅲ相試験の有害事象の概要として,有害事象の発現状況が一覧で紹介されていたが,審査報告書に記載のあった「ケトアシドーシス関連事象」等,複数の項目が削除されていた。審査報告書で「多く認められた有害事象」とされている「ケトアシドーシス関連事象」は,安全性の観点から紹介すべきであり,選定方法が不適切と思われた。
ポイント
有害事象の一覧に,臨床試験で多く認められた事象を示さなかった。
副作用発現率に影響のある前投薬の情報等を記載しなかった事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
製品紹介パンフレットに掲載されていた第Ⅰ相臨床試験結果において,副作用の発現率が他社製品と比較して著しく低かったため,審査報告書を確認したところ,パンフレットにはない前投薬の記載があった。また,同試験の目的についても,審査報告書に記載のあった「安全性の比較検討」がパンフレットでは削除されており,「薬物動態の同等性の検証」のみが目的として記載されていた。
ポイント
安全性を評価する上で必要な前投薬の情報を記載しなかった。
原著論文からの引用において,不正確な引用や不適切な情報の削除・統合を行った事例
医薬品の種類
抗リウマチ薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
製品紹介パンフレットの記載について,原著論文からの不適切な引用と思われる点が散見された。 原著論文では,重篤な副作用として,個別の名称とともに詳細な発現状況が記載されているが,パンフレットでは複数項目がまとめられており,本剤の使用に当たって特に注意すべき項目の記載が省略されていた。 原著論文から引用したデータについて,数値が一致しない箇所があった。 原著論文から引用した患者満足度の調査結果について,回答不明の患者を除外して集計した旨の記載が省略されていた。
ポイント
原著論文からの引用に当たり,不正確な引用や不適切な情報の削除・統合を行った。
症例数の少ないサブグループ解析の結果のみを紹介し,有効性を主張した事例
医薬品の種類
気管支喘息治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド,製品紹介パンフレット
内容
医師向けの院内製品説明会で,企業担当者が第Ⅲ相国際共同臨床試験の主要評価項目である年間喘息増悪率について,全例解析(実薬群・プラセボ群いずれも約250例)の結果を紹介せず,日本人集団(実薬群・プラセボ群いずれも約15例)についてのサブグループ解析結果のみを紹介した。その他の副次評価項目については全例での結果が紹介されており,なぜ主要評価項目は日本人データのみを紹介したのか尋ねたところ,「医師は日本人データを求めるため」との回答を受けた。症例数は少ないものの,全例解析よりもサブグループ解析の方が良い結果が出ており,恣意性が感じられた。 なお,医師向けと思われる簡素なパンフレットにもサブグループ解析の結果のみが記載 されていた。
ポイント
主要評価項目について,症例数の少ないサブグループ解析の結果のみを紹介した。
プレゼンテーション用スライドにおいて,恣意的と思われる解析結果を紹介した事例
医薬品の種類
血友病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド
内容
製品紹介のプレゼンテーションにおいて,週1 回投与群のうち**週までに出血しなかった患者の割合に並べて,**週まで週1 回投与が継続できた患者のうち出血しなかった患者の割合が提示されたが,後者のデータは,配布された総合製品情報概要や審査報告書には記載がない。何らかの理由で週1 回投与が継続できなかったケースが脱落しているものであり,後者のデータの価値は乏しく,かつ優良誤認をしかねないものであった。なお,プレゼンテーション用スライドは配布されなかった。
ポイント
恣意的かつ優良誤認を招きかねない解析結果を紹介した。
比較試験の結果から対照群のデータを削除して紹介した事例
医薬品の種類
抗菌薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR 提供資料及びホームページの臨床試験結果紹介
内容
D 社のホームページ及びMR が提供した資料に,抗菌薬の臨床試験結果が紹介されていた。主要評価項目・副次評価項目を問わず,臨床効果,細菌学的効果,医師による評価,有害事象等の多数の掲載グラフで,比較試験の結果であるにもかかわらず,引用論文には記載のあった対照薬の結果が掲載されていなかった。比較対象を削除することで,D 社の抗菌薬の効果や安全性を正確に評価できない可能性があった。また,主要評価項目の評価は95%信頼区間を用いて「非劣性」,「優越」の判断を行ったという記載はあるものの,その評価結果は示されていなかった。
ポイント
データの一部のみを抜粋することで,効能効果を誇大に見せている。
非劣性試験の結果から対照薬群のデータを削除して紹介していた事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
簡易版製品パンフレット
内容
E 社の糖尿病治療薬のパンフレットにおいて,「優れた血糖低下効果」という表題のページに,HbA1c 値の変化量の推移を示すグラフが掲載されていた。原著論文では,非劣性試験として,対照薬群,当該薬品100mg 群,300mg 群のデータが1つのグラフにまとめられていたが,パンフレットでは当該薬品100mg 群のみのグラフとなっていた。主要評価項目である52 週目の値についてみると,当該薬品100mg と対象薬群の差が0.01%であり,当該薬品のデータのみを抜粋することで血糖降下作用を強調していることが疑われた。
ポイント
データの一部のみを抜粋することで,効能効果を誇大に見せている。
優位なデータのみを抜粋し,本来の主要評価項目ではない薬力学的動態の評価を強調した事例
医薬品の種類
プロトンポンプ阻害薬
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2018 年2 月作成)
内容
F 社のパンフレットにおいて,臨床試験結果として,当該医薬品と類似薬における24時間の胃内pH の推移を示すグラフが掲載されていた。パンフレットのグラフはベースラインと1 日目のデータの記載であったが,原著論文ではさらに7 日目のデータも記載されており,類似薬よりも効能効果が優れているデータのみを抜粋したことが疑われた。 また,当該ページの上部には,「投与1 日目は2~3 時間後に胃内pH4 に達し,4 時間後に胃内pH7 に達しました」とタイトルが付けられていたが,本来,研究の主要評価項目は「24 時間の胃内pH≧3,pH≧4,pH≧5 のHTR(Holding Time Ratio),24 時間の平均胃内pH」であり,薬物の薬力学的動態を評価する研究ではない。原著論文の真意を損ねかねないタイトルが付けられていた。
ポイント
データの一部のみを抜粋することや,引用論文本来の目的にそぐわないタイトルを記載することで,効能効果を誇大に見せている。
非盲検期を含めたデータであったものを盲検期のみのデータに加工し,対照群との差を誇大に見せた事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品情報概要
内容
G 社抗がん剤の総合製品情報概要に掲載されていた客観的奏効率のグラフが,インタビューフォーム・引用論文に記載されていた表のデータと異なっていた。 インタビューフォーム・論文で紹介された奏効率は,G 社抗がん剤群45.0%,プラセボ群13.0%であり,注釈に「プラセボ群の奏効例13 例中12 例は非盲検期間中に奏効が認められた」旨の記載があった。一方,総合製品情報概要では,「盲検期のデータ比較」とした上でプラセボ群の奏効例12 例を奏効率の分子から除くことで,プラセボ群の奏効率が1%となっていた。総合製品情報概要とインタビューフォーム・論文を比較すると,G 社抗がん剤とプラセボ群の差が拡大していた。 データの加工によって効能効果が誇大に評価されかねない事例であった。
ポイント
データを修正することで,効能効果を誇大に見せている。
恣意的な補助線により,対照群との差を誇大に見せた事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(スライド・口頭説明)
内容
H 社のMR が薬剤部向けに自社の抗がん剤についてプレゼンテーションを行ったところ,臨床試験結果であるPFS を示すグラフに,インタビューフォームと製品情報概要には記載のない“補助線”が追加されていた。この補助線は対照群との差が大きい観察期間12 か月時点に引かれていたが,片群200 例以上のランダム化比較試験において12 か月時点で結果が得られている症例はわずかに11 例と5 例のみであった。 補助線の位置は観察期間中央値でもなかったため,MR に線を記載した理由を尋ねたところ「生存期間中央値に未達であったので,最長観察期間に補助線を入れた」と説明があった。しかし,生存期間中央値に未達で最長観察期間が21 か月であるグラフでも,12 か月時点に補助線が引かれていたため,MR の説明は矛盾していた。 当該グラフの上には,「対照薬群と比較して有意にPFS を延長した」という趣旨の文章に続き「12 か月時点のPFS 率は当該医薬品群*%,対照薬群*%であった」と記載がある。科学的に明確な理由なく,差が大きいところに補助線を引き,文章化しており,読み手が細部を注意深く見なければ,有効性を過大に評価しかねなかった。
ポイント
補助線の追加と説明文によって,効能効果を誇大に見せている。
原著論文にはない着色や補助線で効能効果を強調した事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2017 年5 月作成)
内容
I 社の糖尿病薬等を説明するパンフレットで,薬物治療に関する項目として「食後1 時間以内の血糖のピークを抑制しました」というタイトルとともに,食後時間と血糖値の関係を示したグラフが掲載されていた。このグラフには,原著論文にはない,横軸の「30分」「60 分」表記への色付けや,血糖値160mg/dL に補助線が引かれるといった加工が行われており,他社製品との差を強調している印象を受けるものであった。
ポイント
補助線の追加と着色によって,効能効果を誇大に見せている。
グラフの軸の目盛を変更したり,論文には記載のないデータを追加した事例
医薬品の種類
多発性硬化症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット
内容
J 社のパンフレットでは,効能効果を示すグラフの縦軸が0%~50%であったが,引用論文では縦軸が0%~100%であった。軸の目盛を変更することで,視覚的に有効性を高く評価しかねない可能性があった。 また,ベースライン時の総合障害度(EDSS)及び治療歴からみた年間再発率のグラフには,引用論文にはないベースラインデータが追記されており,軸の最大値を変更することで,本来比較すべき群間差がわかりにくい内容となっていた。
ポイント
軸の尺度の変更等によって,効能効果を誇大に見せたり,引用論文本来の目的をわかりづらくしている。
論文中から特に優位性を示せる一部のデータのみを使用した事例
医薬品の種類
抗生物質製剤
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2016 年8 月作成)
内容
G 社のWeb セミナーで配布されたパンフレットにおいて,「****に対して当該医薬品はバランス良く優れた抗菌力を示します」というキャッチコピーとともに,特定の菌に対する薬剤感受性に関する図として,5 種類の内服抗菌薬に関するデータが掲載されていた。原著文献から内服抗菌薬に関するデータを抜粋して作成されたかのように見えたが,文献を確認したところ,これらの薬以外の有効性が確認された内服薬のデータ,静注抗菌薬のデータがパンフレットには未掲載であることがわかった。パンフレットにはデータの抜粋に関する記載がなく,表記方法として不適切だと思われる事例であった。 また,この図の下には監修者のコメントとして「軽症から中等症の疾患の増悪時の抗菌薬として有力な選択肢のひとつとして考えられる」の記載があるが,本来抗菌薬治療は経静脈投与も含めるべきであり,掲載している図では原著に記載されている静脈投与が除外されている点を考慮すると,図からコメントへの流れは「軽症から中等症の疾患」との断り書きを踏まえても,静注抗菌薬を意図的に除外して当該医薬品の処方を誘導しているのではないかと考えられた。
ポイント
図の一部のみを抽出・加工することで,効能効果を誇大に見せている。
グラフの縦軸の間隔を伸ばすことで効果を誇張した事例
医薬品の種類
気管支拡張剤
問題のあった情報提供活動・資材
製薬企業が主催するWeb セミナーの図表
内容
E 社が主催するWeb セミナーにおいて,医薬品の有効性を示すために,実薬対象比較 試験の結果の説明がなされた。主要評価項目である「中等度又は重度の疾患の増悪回数」 のグラフについて,スライド上で差が大きく見えるようにグラフの縦軸の一部を拡大して,効果を強調する場面があった。なお,製品情報概要には通常のグラフが掲載されており,スライドのみが視覚的に差を強調したものとなっていた。画面が切り替わるタイミングが早ければ,データを正確に読み取れない危険性があった。 (イメージ) 製品情報概要のグラフスライドのグラフ
ポイント
誤解を生じさせやすいグラフの加工によって,効能効果を誇大に見せている。
引用論文の図から一部を抜き出した形で試験結果を紹介した事例
医薬品の種類
抗ヒスタミン薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品情報概要
内容
F 社の抗ヒスタミン薬の総合製品情報概要で,慢性特発性蕁麻疹患者に対する二重盲検比較試験の結果として,“初回投与24 時間後の午前”の痒みスコアの変化率が掲載されていた。しかし,引用論文においては,初回投与24 時間後・1 週間後・6 週間後の3 時点で1枚のグラフが作成されており,論文の図から効果を顕著に示すことができる一部のみを抜粋したものとなっていた。製品情報概要のみを見ると,バックグランドとして持つべき情報が欠けており,薬剤の効果を正しく評価できない可能性があるものとなっていた。 (イメージ) 製品情報概要のグラフ引用論文のグラフ
ポイント
図の一部のみを抽出・加工することで,効能効果を誇大に見せている(「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」(日本製薬工業協会)では,「原著論文からデータを引用する場合は内容が正確に伝わるよう記載し,結論が自社製品に優位な部分のみ抜粋することなく,原著の真意を損なわないように配慮し,出典を明示すること」としている)。
論文中から特に優位性を示せる一部のデータのみを使用した事例
医薬品の種類
抗生物質製剤
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2016 年8 月作成)
内容
G 社のWeb セミナーで配布されたパンフレットにおいて,「****に対して当該医薬品はバランス良く優れた抗菌力を示します」というキャッチコピーとともに,特定の菌に対する薬剤感受性に関する図として,5 種類の内服抗菌薬に関するデータが掲載されていた。原著文献から内服抗菌薬に関するデータを抜粋して作成されたかのように見えたが,文献を確認したところ,これらの薬以外の有効性が確認された内服薬のデータ,静注抗菌薬のデータがパンフレットには未掲載であることがわかった。パンフレットにはデータの抜粋に関する記載がなく,表記方法として不適切だと思われる事例であった。 また,この図の下には監修者のコメントとして「軽症から中等症の疾患の増悪時の抗菌薬として有力な選択肢のひとつとして考えられる」の記載があるが,本来抗菌薬治療は経静脈投与も含めるべきであり,掲載している図では原著に記載されている静脈投与が除外されている点を考慮すると,図からコメントへの流れは「軽症から中等症の疾患」との断り書きを踏まえても,静注抗菌薬を意図的に除外して当該医薬品の処方を誘導しているのではないかと考えられた。
ポイント
図の一部のみを抽出・加工することで,効能効果を誇大に見せている。
誤解しかねないスライド構成やデータで,医薬品の優位性をPRした事例
医薬品の種類
代謝調節剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(スライド・口頭説明)
内容
H 社の代謝調節剤について追加の適応が承認されたので,モニター医療機関で勉強会が開催された。H 社の担当MR が当該医薬品と腫瘍崩壊症候群に関する説明をする中,1 スライドだけではあるが,既存薬との比較試験のデータを示し,「既存薬に対し当該医薬品は優位性を持っている」と説明した。しかし,このデータは従来の適応のものであって,追加された適応のものではなく,さらには追加された適応では既存薬に対する非劣性のデータしかなかった。勉強会のテーマとは若干外れた内容のスライドをプレゼンテーションの中で紹介されることで,誤認の恐れがあった。
ポイント
誤解を生じさせやすいスライドの構成やデータによって,効能効果を示している。
指定外の初期投与量を推奨,及び,データの比較において強調を行った事例
医薬品の種類
抗リウマチ薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報提供サイトでの企業配信動画
内容
医療関係者向け情報提供サイトにおいて,D 社が作成した医師向けの処方に関する説明動画を医師・薬剤師向けに配信していた。 当該医薬品の投与方法について,動画中では,1 日量100mg から開始し,患者の状態を確認しながら増量することを推奨していたが,添付文書の用法用量には,100mg を1日3 回投与(1 日量300mg)し,本剤に対する反応等に応じ,効果の得られた後には1 日量100〜300mg の範囲で投与するとあった。つまり,初期投与量1 日量300mg が本来の投与方法であるが,動画では,初期投与量が1 日量100mg の用法用量を推奨していた。 また,他の医薬品の単独群に比べて,当該医薬品を含む複数の医薬品の併用群は有効性を示す数値が有意に高く,効果不十分による投与中止例の割合が有意に少ないことを示したグラフが動画中に表示されていたが,それぞれの棒グラフの色が変わったり点滅したりといった強調がなされていた。
ポイント
承認されていない用法用量を推奨している。また,対象薬との比較を強調するプロモーションを行っている(「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」(日本製薬工業協会) では,「対照薬(プラセボを含む)との比較や投与前後の違いを示す図表においては,矢印等を用いて差を強調しないこと。また,文字の大きさや色使いなどで差を強調しないこと」としている)。
他社でも行っている副作用調査について「当社だけ実施」とPRした事例
医薬品の種類
造影剤 精神神経用剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明 MR によるプレゼンテーション(口頭説明)
内容
モニター医療機関に対してI 社の担当MR から,「非イオン性造影剤の後発医薬品メーカーでは,副作用調査を行っている会社は当社だけである」というプロモーションが行われた。しかし,実際には他社でも造影剤に関する副作用調査が行われており,事実と異なる説明がなされた。 院外の勉強会において,J 社のMR が当該医薬品について一通り製品概要を説明した後,治療の位置づけとして「『今日の治療指針』において,薬物治療の第一選択として他の医薬品よりも“前に”記載されている」と強調した発言があった。医薬品の表記の順番によって優劣が決まることはなく,他の医薬品よりも優れているという事実誤認を生じかねない表現であった。 また,治療ガイドライン及び「今日の治療指針」などにおいて,治療の位置づけを説明すること自体は問題ないが,本来の目的は医薬品適正使用のための情報提供であり,高齢者の安全な薬物療法ガイドラインにあるような「漫然と長期投与せず,少量の使用にとどめるなど,慎重に使用する」といった安全性に関する情報提供はなかった。自社製品にとって都合のよい内容だけを用いて説明することは,効能効果や安全性等の保証や誇大な表現につながりかねない事例であった。
ポイント
誤った事実に基づくプロモーションを行っている。 医薬品の優劣とは関連しない“治療指針の掲載順”をPRする一方,安全性に関する情報提供が一切なかった事例 ◆医薬品の種類: 精神神経用剤 ◆問題のあった情報提供活動・資材: MR によるプレゼンテーション(口頭説明) ◆内容: 院外の勉強会において,J 社のMR が当該医薬品について一通り製品概要を説明した後,治療の位置づけとして「『今日の治療指針』において,薬物治療の第一選択として他の医薬品よりも“前に”記載されている」と強調した発言があった。医薬品の表記の順番によって優劣が決まることはなく,他の医薬品よりも優れているという事実誤認を生じかねない表現であった。 また,治療ガイドライン及び「今日の治療指針」などにおいて,治療の位置づけを説明すること自体は問題ないが,本来の目的は医薬品適正使用のための情報提供であり,高齢者の安全な薬物療法ガイドラインにあるような「漫然と長期投与せず,少量の使用にとどめるなど,慎重に使用する」といった安全性に関する情報提供はなかった。自社製品にとって都合のよい内容だけを用いて説明することは,効能効果や安全性等の保証や誇大な表現につながりかねない事例であった。 ◆ポイント: 医薬品の優劣とは無関係なことをプロモーションに用い,効能効果を誇大に見せている。 また,安全性を軽視したプロモーションを行っている。
症例数の少ないデータや理論上あり得ない数値を用いたPRや,リスクを軽視した製品説明を行った事例
医薬品の種類
抗アレルギー薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明・スライド)
内容
モニター医療機関で実施された新薬のヒアリングにおいて,K 社の担当MR が抗アレルギー薬の特性について実験結果に基づいて説明を行った際に,当該医薬品と他の薬剤を比較したグラフで,当該医薬品の結果が理論上あり得ない数値を示していたにもかかわらず,他剤との差を持って優位性が認められることを主張していた。また,当該医薬品の結果は10 例ほどの症例に基づく結果であった。 さらに,MR は,医薬品リスク計画書に,重要な特定されたリスク・重要な潜在的リスク・重要な不足情報に関する記載がないことから「他剤よりもリスクが少ない」と表現し,「他剤ではアナフィラキシー症状等が発生するが,当該医薬品には記載がなく,発生リスクが少ない」とも紹介していた。アナフィラキシー症状の発生は医薬品ではなく患者によるものであり,全般に安全性を軽視するようなプロモーションがみられた。
ポイント
症例数が少ないデータを用いて不適切な説明を行ったり,安全性を軽視したプロモーショ ンを行っている。

(2)エビデンス不足や信頼性に欠ける説明に関する事例

十分な根拠に基づかない医師個人の意見を宣伝に用いた事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画
内容
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画で,高齢者の疼痛対策の「第1 選択」であるとして,医師が本剤を推奨していた。しかし,他剤ではなく本剤を選択すべきエビデンスは示されず,また添付文書には,「高齢者には副作用が現れやすい」と記載されている。
ポイント
十分な根拠なく医師個人の意見を宣伝に用いた。
企業担当者個人の感想に基づき,根拠なく他剤に対する優位性を説明した事例
医薬品の種類
子宮内膜症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
院内説明会の際に,「他社製品より味が良い」との発言があり,その根拠を確認したところ,企業担当者本人が服用してみての感想であり,エビデンスはなかった。
ポイント
企業担当者個人の主観をもとに,他剤に対する優位性を説明した。
不正確な理解に基づき,他社製品に対する優位性を説明した事例
医薬品の種類
漢方薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
企業担当者が他社製品との比較資料を持参し,「他社製品よりも安価で,論文数が多く品質が優れている」との説明を行った。実際には,1 日薬価は本剤の方が高く,また論文数のみをもって,内容も精査せずに品質が優れていることの根拠とするのは不適切である。
ポイント
不正確な情報・理解に基づき,他社製品に対する優位性を説明した。
作用機序のみで,他社製品に対する安全性の優位性を説明した事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
本剤は,添付文書にも併用注意の薬剤が記載されているが,企業担当者は,CYP に関連しないことやグルクロン酸抱合であること等,作用機序を根拠として,「相互作用が特になく他社製品より安全である」との説明を行った。作用機序の説明は妥当であっても,併用した場合の安全性を実証したエビデンスを示さずに,他剤に対する優位性を説明するのは不適切である。
ポイント
実証したエビデンスを示さずに,作用機序のみで他剤に対する優位性を説明した。
十分なエビデンスなく,有効性についての説明を行った事例
医薬品の種類
利尿薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド
内容
薬剤部内勉強会において,「心不全患者に対する本剤の投与は,心不全による再入院を減少させる」との説明があったが,原著論文は心不全患者に対する本剤の投与と尿アクアポリン2 の関係が主題であり,再入院の減少を研究目的とするものではなく,結果を見てもエビデンスとしては不十分であった。 なお,『心不全診療ガイドライン』においても,「再入院を減少させることを示唆する報告も見受けられるが,長期予後改善効果は確立されていない」との表現に止まっている。
ポイント
不十分なエビデンスしかないにもかかわらず,断定的な表現で有効性を説明した。
異なる規格の製剤の情報をもとに,エビデンスに基づかない説明を行った事例
医薬品の種類
酸分泌抑制薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
企業担当者から医師が,逆流性食道炎の維持療法への本剤5mg 製剤(10mg 製剤と20mg製剤は後発医薬品が販売されているが,5mg 製剤は販売されていない)の使用を勧奨された。逆流性食道炎の維持療法については,10mg 製剤または20mg 製剤の使用が想定されており,審査報告書にも10mg 製剤の1 日2 回から1 日1 回への減量についてしか記載されていないにもかかわらず,医師の判断で減量が可能であることを根拠に,「5mg 製剤も使用可能である」との説明を受けたとのことであった。 また,インタビューフォームに「20mg 製剤1 日1 回より10mg 製剤1 日2 回の方が効果が高い」と記載されていることを根拠に,「10mg 製剤1 日1 回より5mg 製剤1 日2 回の方が効果が高い」との説明も行ったとのことであったが,この裏付けとなる研究はなかった。
ポイント
異なる規格の製剤の情報を援用し,エビデンスに基づかない説明を行った。
査読のない学会のポスター発表の写真を情報提供に用いた事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による提供資料
内容
企業担当者が包装変更等の情報提供を行った際に,「このような情報もあるので活用してほしい」と述べ,本剤を扱った学会のポスター発表(本剤の投与方法と血管痛の関係についての報告)を撮影した写真を資料として提供した。なお,このポスター発表は結果の解釈に誤りが見られ,正確性に欠けると思われた。
ポイント
査読のないポスター発表の写真を情報提供に用いた。
10例未満のデータをもとに有効性を主張した事例
医薬品の種類
漢方薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド,製品紹介パンフレット
内容
医局での製品説明会において,慢性扁桃炎患者に対する投与症例文献を示し「全例で有効であった」と説明を行ったが,本剤を投与した10 例のうち3 例は「来院しなかったため評価できなかった」とのことであった。つまり,実際には7 例についての評価であり,信頼性に欠ける情報提供である。なお,当該データはプレゼンテーション用スライド以外に,製品紹介パンフレットにも掲載されている。
ポイント
10 例未満のデータをもとに有効性を主張した。
信頼性に欠けるデータや説明が不十分なデータを用いて,有効性等を説明した事例
医薬品の種類
保湿薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
ヒアリング時に提供された複数の製品紹介パンフレットにおいて,信頼性に欠けるデータを用いた記載や,データの説明が不十分な点が多数見られた。 企業担当者より「薬剤切り替え後の有効性及び安全性を確認した」との説明があったが,根拠として示されたデータは,クロスオーバーもされていないシングルアームの切り替え試験であった。 臨床試験の概要に,患者プロファイルの記載がなかった。また,主要評価項目が「薬剤切り替え後の治療効果」としか記載されておらず,詳細が示されていなかった。 参考情報として紹介されている患者アンケートは,設問内容等の記載が不十分であった。 薬物動態や薬効薬理の説明箇所では,コントロール群が,同じパンフレットで紹介された臨床試験結果や患者アンケートとは異なる剤形であり,資料を通してデータの整合性がとれていなかった。 「短い時間で塗ることができる」という訴求の根拠が,患者アンケートの結果と推察された。また,薬剤の準備にかかる時間・手間を考えると誇張と思われた。
ポイント
信頼性に欠けるデータや詳細の説明が不十分なデータを用いてプロモーションを行った。
非劣性試験の結果を用いて,優位性を主張した事例
医薬品の種類
抗菌薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
医局での製品説明会で本剤の有効性について説明をする際に,除菌率についての非劣勢 試験の結果を用いて,本剤の優位性を強調するかのような説明を行った。
ポイント
非劣性試験の結果を用いて優位性を主張した。
非劣性試験の結果を用いて,優位性を主張した事例
医薬品の種類
子宮筋腫治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
企業担当者が,非劣勢試験での投与後開始初期の時点において本剤が既存薬と比較して効果が速やかに認められた結果を流用し,「既存薬と比較して効果が速やかに認められる」と口頭説明を行った。
ポイント
非劣性試験の結果を用いて優位性を主張した。
宣伝には不適切な資料をもとにしたプロモーションや根拠のない説明を行った事例
医薬品の種類
抗アレルギー薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
薬剤部向け製品説明会において,企業担当者が「国土交通省の『航空機乗組員の使用する医薬品の取扱いに関する指針』ではパイロットに対して本剤の投薬が制限されておらず,眠くならないので安全である」という趣旨の説明を行った。当該指針がどのように作成されているのか尋ねたが,担当者は把握していなかった。 また,同じ企業担当者が「本剤を粉砕した際に,不快な味やにおいはない」と発言したため,その根拠を確認したところ,回答がなかった。
ポイント
プロモーションに不適切な資料を根拠とした説明や,根拠のない主観的な説明を行った。
宣伝には不適切な資料をもとにしたプロモーションや根拠のない説明を行った事例
医薬品の種類
抗アレルギー薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
薬剤部向け製品説明会において,企業担当者が「国土交通省の『航空機乗組員の使用する医薬品の取扱いに関する指針』ではパイロットに対して本剤の投薬が制限されておらず,眠くならないので安全である」という趣旨の説明を行った。当該指針がどのように作成されているのか尋ねたが,担当者は把握していなかった。 また,同じ企業担当者が「本剤を粉砕した際に,不快な味やにおいはない」と発言したため,その根拠を確認したところ,回答がなかった。
ポイント
プロモーションに不適切な資料を根拠とした説明や,根拠のない主観的な説明を行った。
直接的なデータを示すことなく,他剤に対する優位性を説明した事例
医薬品の種類
抗ウイルス薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者の口頭説明
内容
企業担当者に対して本剤の優位性を尋ねたところ,「既存薬と比較してウイルス力価の減少が速く,ウイルス排出停止までの時間が短縮することから,他者へうつすリスクを減少させる可能性がある」との説明を受けた。 理論的には妥当とも考えられるが,「ウイルス力価の変化量」と「ウイルス排出停止までの時間」は副次評価項目であり,感染リスクを下げる直接的なデータもないため,優位性を誇張しているように受け止められた。
ポイント
直接的なデータを示すことなく,他剤に対する優位性を説明した。
十分なエビデンスなく,製剤的特徴をメリットとして紹介した事例
医薬品の種類
高リン血症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
企業担当者から提供された製品紹介パンフレットにおいて,本剤のメリットとして「義歯にはさまりにくい」等の記載があるものの,その根拠や比較対象が明示されていなかった。
ポイント
十分なエビデンスを示すことなく,製剤的特徴をメリットとして説明した。
エビデンスを示すことなく半量投与の効能効果を保証した事例
医薬品の種類
消化薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
K 社から,原料の供給が需要に追い付かないため,患者の状態に応じた半量投与など,投与量の適宜増減を依頼する紙面案内があった。また,本件について,K 社の担当MRは,モニター医療機関のDI 担当者に対して,根拠となるデータを示すことなく「半量投与でも効果は全く変わらない」と口頭で説明した。 インタビューフォームと審査報告書を確認したところ,1 日当たりの臨床推奨用量の全量群,半量群,プラセボ群の3 群比較試験では,臨床推奨用量の全量群と半量群のいずれもプラセボ群と比較して,**の吸収率を有意に上げていた。しかし,用量依存的に吸収率を上げることも示唆されており,臨床推奨用量の全量群と半量群で同等の効果が得られる根拠とはなりがたいと考えられた。MR の発言はデータに基づかない不誠実な情報提供である可能性が疑われた。
ポイント
効能効果について根拠のない情報提供を行っている。
根拠なく優位性を主張したり,論文に未掲載のデータをもとにPRした事例
医薬品の種類
局所麻酔薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明・パンフレット・商業誌の掲載記事
内容
L 社の局所麻酔薬の製品パンフレットで,「L 社の局所麻酔薬(クリーム)」と「有効成分**の局所麻酔薬(クリーム)」について,皮膚における吸収過程を比較した模式図があった。MR はこの図をもとに「自社製品は『有効成分**の局所麻酔薬(テープ)』と同程度の効果を持つ」と説明した。 剤型が異なる他社製品と効果が同等と主張する根拠を質問したところ,「製造販売元から伝えられたことを伝えた。根拠となる資料はすぐにはわからないため探して連絡する」と返答があった。後日,MR からは「同等という根拠はなく,MR 同士の立ち話で小耳にはさんだものを勘違いして伝えてしまった」と回答された。 また,MR から「他社製剤から当社製剤へ切り替えた結果,穿刺痛が緩和した文献がでた」と論文と商業誌に掲載された企業共催セミナーの記事(記事体広告)を提供された。 商業誌の掲載記事では,論文に未掲載のグラフをもとに効能効果が主張されていた。
ポイント
他剤との比較について根拠のない情報提供を行っている。また,論文に掲載のないデータを用いて効能効果を主張している。
根拠なく「関連論文ではほぼ自社製品が使われている」と発言した事例
医薬品の種類
保湿剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
手足症候群に関する***製剤の文献提供を依頼したところ,M 社MR から「手足症候群に関する***製剤の論文は,ほぼ当社の製品が使われていると考えて差し支えない」との発言のみがあった。
ポイント
根拠のない情報提供を行っている。
根拠なく「日本人向けの製品」とPRした事例
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
N 社の鎮痛剤は,海外で一般的に使用されている医療用麻薬の徐放製剤であり,医療上必要性の高い未承認薬として開発・発売されている。そのような背景からか,担当MRは製品説明の際に「日本人向けの製品」,「日本人向けに開発した」と繰り返し発言した。 根拠の提示を求めたものの特にデータはなく,添付文書,インタビューフォーム,審査報告書を確認しても何の記載も見当たらなかった。
ポイント
根拠のない情報提供を行っている。
溶出性の差を理由に,AGが他の後発医薬品より優位であるかのように説明した事例
医薬品の種類
胃炎・胃潰瘍治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
オーソライズド・ジェネリック(AG)の販売を開始したO 社のMR は,自社のAG と他社の後発医薬品との差異について,「胃炎・胃潰瘍治療剤は胃に直接作用するため,薬剤の溶出性等の動態が重要となる。効果を最大限に得るためには先発医薬品と製剤方法や添加物が全て同等であるAG が最適である」と説明した。この説明を受けた医療関係者は,後発医薬品の溶出性は承認段階では同等と認められていると認識していたため,「わずかな製剤上の差異が効果に影響するのか」と尋ねたところ,提示できるデータはないと回答された。 AG でない後発医薬品よりもAGの方が効能効果が優れているようなプロモーションであり,企業全体でこのような販促方法が取り入れられていることが危惧された。
ポイント
根拠のない情報提供を行い,他社製品の誹謗と思われる発言を行っている。
明確なデータを示すことなく伝聞調で他社製品を誹謗し,優位性を主張した事例
医薬品の種類
局所麻酔薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
P 社のMR が自社の局所麻酔薬の特性について,「データとして明確に提示できるものはないが」と前置きした後,「当該製品は製剤特性として薬剤をなるべく均一に練りこんであり,薬剤が均一に放出されることから,他剤と比べて痛みが少ないと評判である。先発医薬品は薬剤の粒が大きいため,貼っても薬剤が到達しない部分が存在しており,そこに穿刺すると痛みが出てくることがあると聞いている」,「肌に優しい製剤になっており,肌のかぶれも他の製剤よりも少ないと言われている」という説明を行った。 当該薬剤は後発医薬品のため審査報告書は確認できなかったが,インタビューフォームで確認したところ,薬品密度の均一性やかぶれ対策等に関する製剤的工夫の記載はなく,P社のホームページでも根拠となるような資料は確認できなかった。また,先発医薬品についても,貼付剤として薬剤の放出等に関する記載も見つからなかった。 このような情報提供はMR の様子から日常的に行われているようであった。
ポイント
根拠のない情報提供を行い,他社製品の誹謗と思われる発言を行っている。
1施設における他社製品との比較データをもとに安全性をPRし,他社製品を誹謗した事例
医薬品の種類
造影剤 抗リウマチ薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(スライド・口頭説明) MR による申請資料
内容
医局向けの製品説明会で,V 社MR は,国内1 施設における造影剤6 剤の副作用発現率をスライドに示した。このスライドには製品名と発現率しか記載がなく,n 数も検定結果も一切示されていなかったが,他社製品の副作用発現率が2.0%~3.7%程度なのに対しV 社の製品は1.8%と最も低いため,安全性が一番高いと説明した。 さらに,MR は,最も発現率が高かった他社の造影剤は副作用発現率が2 倍近いことを強調し,「この製品はもともと副作用が多いと言われているので当然の結果」と他剤を誹謗するような発言を行った。 W 社MR がプロモーション許可申請のために提出した資料の中で,「類薬の特徴的な副作用である脂質異常の発現が少なく,脂質異常を合併する患者が治療対象となり得る」と記載があった。事前に情報収集していた限りでは,安全性について他剤よりも優越性を示す試験結果はなかったのでMR にその根拠を尋ねたところ,「提示できる参考資料等はなく,単純にそれぞれの医薬品の添付文書に記載されている副作用発現頻度を比較した」と回答があった。明らかに不適切な比較方法であった。
ポイント
1 施設の他社製品との比較データをもとに安全性を主張したり,他社製品の誹謗と思われ る発言を行っている。 添付文書の副作用発現率を比較することで,安全性をPR した事例 ◆医薬品の種類: 抗リウマチ薬 ◆問題のあった情報提供活動・資材: MR による申請資料 ◆内容: W 社MR がプロモーション許可申請のために提出した資料の中で,「類薬の特徴的な副作用である脂質異常の発現が少なく,脂質異常を合併する患者が治療対象となり得る」と記載があった。事前に情報収集していた限りでは,安全性について他剤よりも優越性を示す試験結果はなかったのでMR にその根拠を尋ねたところ,「提示できる参考資料等はなく,単純にそれぞれの医薬品の添付文書に記載されている副作用発現頻度を比較した」と回答があった。明らかに不適切な比較方法であった。 ◆ポイント: 不適切なデータの比較によって,安全性を誇大に見せている。
症例数の少ないデータを用いて効果を主張した事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2016 年12 月作成)
内容
地域の医療関係者を対象とした勉強会で,L 社が当該医薬品の「1 日の血糖変動を平坦化 する」効果を主張するパンフレットを配布していた。パンフレットには,当該医薬品と他 の医薬品について,血糖日内変動の推移と投与前後における血糖日内変動指標の変化を比 較するグラフが掲載されていたが,症例数はわずか9 例(当該医薬品4 例,他の医薬品5 例)であり統計解析も行われていなかった。
ポイント
症例数が少ないデータをもとにプロモーションを行っている。

(3)誇大な表現に関する事例

原著論文の翻訳表現が不正確であった事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
本剤の製品紹介パンフレットにおいて,他剤とのVEGFR 阻害作用を比較するグラフが示されていたが,原著論文では「Less potent」「More potent」と記載されている縦軸が,それぞれ「軽微な阻害作用」「著明な阻害作用」と翻訳されており,他剤と比較して本剤のみが「著明な阻害作用」を有するという印象を与える構図になっていた。
ポイント
原著論文からの翻訳表現が不正確である。
雑誌掲載広告において,根拠の不明瞭なキャッチフレーズを用いた事例
医薬品の種類
抗アレルギー薬
問題のあった情報提供活動・資材
雑誌掲載広告
内容
本剤の雑誌掲載広告において,「STRONG」という用語がキャッチフレーズとして用いられていた。本剤の適応症の治験はシングルアームもしくはプラセボ対照のみであり,他剤よりも有効性が高いとするエビデンスはないが,「STRONG」という用語を使用することで,他剤と比較して有効性が高いと誤認する可能性があった。
ポイント
他剤よりも有効性が高いというエビデンスなしに,「STRONG」という表現を用いた。
製品名の由来をプロモーションに用いた事例
医薬品の種類
抗菌薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明,ヒアリング用資料
内容
薬剤部ヒアリングで企業担当者が,製品名の由来(「卓越した」という意味を持つ単語が含まれる)を示し「卓越した効果をもつ薬剤」と強調して説明した。臨床試験では,対照薬に対する非劣性が検証されたに過ぎず,製品名を利用して「卓越した」と強調してプロモーションを行うことは誇張と思われる。
ポイント
根拠が十分でない製品名の由来をプロモーションに用いた。
飛躍した論理展開をもとにデータを紹介し,安全性を誇張した事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
「腎機能への影響」にフォーカスした製品紹介パンフレットにおいて,NSAIDs の使用と血圧上昇の関係を示唆するデータ,及び本剤使用患者では血圧に変化がなかったとのデータを示した後,高血圧は慢性腎臓病のリスク因子となるという一般論を紹介していた。 一連の説明により,本剤は腎機能への悪影響が少ないという印象を受けるが,NSAIDsによる腎障害は主に糸球体濾過量の低下による虚血性の急性腎障害であり,血圧への影響のみから腎障害リスク軽減を訴えるには,論理が飛躍している。本剤は重篤な腎障害のある患者を禁忌としており,安全性を誇大に表現していると考えられた。
ポイント
飛躍した論理展開をもとに安全性を誇張した。
1施設の診療方針をガイドラインであるかのように誇張して見せた事例
医薬品の種類
抗血栓薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット
内容
製品紹介パンフレットにおいて,本剤と類薬を併記する形で「DIC 診療のアルゴリズム」が示されていたが,原著論文では類薬について記載されているのみで,本剤については触れられていなかった。また,原著論文は1 施設における診療方針を示したものであり,類薬に関する1 施設の診療アルゴリズムを,本剤の診療ガイドラインのように見せることは不適切である。これらの記載の出所は,原著論文の一部改編となっており,出所の示し方も正確性に欠けるように思われた。
ポイント
1 施設の診療方針をガイドラインであるかのように誇張して見せた。
「優れた」という表現を根拠なく用いて効果を誇張した事例
医薬品の種類
緑内障・高眼圧症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
宣伝用チラシ
内容
本剤の宣伝用チラシにおいて,「優れた眼圧下降効果」というキャッチフレーズが用いられていたが,本剤は後発医薬品であり,有効性を誇張した表現と思われた。なお,チラシには,「優れた」という表現の根拠となるエビデンスの記載はなかった。
ポイント
根拠なく「優れた」という表現を用いて効果を誇張した。
医師個人の見解をもとに,シングルアーム試験の結果を「良好」と紹介した事例
医薬品の種類
血友病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド
内容
製品紹介のプレゼンテーションにおいて,本剤の臨床試験の結果が「良好だった」との見出しで紹介を受けた。対照群の設定されていないシングルアーム試験であったため,「良好」という判断の基準を尋ねたところ,明確な基準はなく,「専門医の見解による」との返答を受けた。なお,プレゼンテーション用スライドは配布されなかった。
ポイント
医師個人の見解をもとに,「良好」という表現でシングルアーム試験の結果を紹介した。
有意差が見られないデータについて,タイトルで効能効果をPRした事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(スライド・パンフレット)
内容
抗がん剤の製品説明において,Q 社のMR は,パンフレット及びプレゼンテーション用のスライドを用いてサブグループ解析の結果を紹介した。前治療の有無別に全生存期間および無増悪生存期間を示したグラフに「前治療の有無にかかわらず,全生存期間および無増悪生存期間を延長する傾向が示された」とタイトルが書かれていたが,複数の医師・薬剤師が見ても,タイトルの内容を示唆するには厳しいと思われるデータであった。製薬企業側もそのことを理解したうえで,あえて“傾向”という言葉を用いていると考えられた。また,グラフには観察期間もp 値も示されておらず信頼性に欠けていた。 グラフの詳細を確認せず,タイトルだけを見ると効能効果について誤認しかねない情報提供であった。
ポイント
データの示す効能効果をタイトルによって誇大に見せている。
有害事象について,過小評価しかねない見出しを用いた事例
医薬品の種類
利尿薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品情報概要
内容
R 社利尿薬の製品情報概要で,使用成績調査の有害事象が「80 歳未満と80 歳以上で全有害事象および重篤な有害事象は変わらなかった」という見出しとともに紹介されていた。 この見出しの下の方には,年齢と用量別の高ナトリウム血症発生率を比較する表が掲載されており,開始用量が高用量の群では,発生率が80 歳未満と80 歳以上で約5%の差があるため「高齢者では高ナトリウム血症の発現リスクを考慮して,**mg から開始することをご考慮ください」と注意書きがなされていた。 引用文献においても,初期用量が**mg を超える場合,80 歳以上の高齢者群では有意に高ナトリウム血症の発現率が高かったという記載が見られ,高齢者の高用量処方については注意が必要であることがわかった。 同じページ内で注意喚起しているものの,見出しだけを読んだ場合は,安全性について誤認する恐れがあった。
ポイント
副作用の発症率について過小評価しかねない内容をタイトルにしている。
製品説明会の対象でない薬剤について,安全性を誇張して推奨した事例
医薬品の種類
抗てんかん薬,直接経口抗凝固薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明・スライド)
内容
製造販売元S 社,販売元T 社の抗てんかん薬について,両社のMR が説明会を開催した。S 社MR は,抗てんかん薬と直接経口抗凝固薬(DOAC)の相互作用の比較表を見せながら,「DOAC の中ではT 社製品が全般的に相互作用が少なく安全」という説明を行った。 そもそも,今回説明を受けた抗てんかん薬は全てのDOAC と相互作用が認められておらず,相互作用がないのはT 社製品に限ったことではない。また,T 社のDOAC は抗てんかん薬以外には相互作用を生じる薬剤もあるため全般的に安全とは言いきれない。抗てんかん薬の説明会において,十分な情報提供を行わずに,特定のDOAC の優位性を誇張して推奨することは事実誤認を招く恐れがあると考えられた。 その他のモニター医療機関からも同様の説明を受けたとの報告があり,広範囲での活動が疑われた。
ポイント
安全性について誇張した表現を用いて,プロモーションを行っている。
算出方法を明記せずに処方実績を誇大にPRした事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
パンフレット(2017 年9 月作成)
内容
U 社パンフレットで,自社の糖尿病薬の実績として「これまで全世界で延べ1 億人以上の処方実績がある薬剤」と記載されていたが,処方回数や処方錠数といった具体的な算出に関する記載がなく,世界の糖尿病人口が4 億人と言われている中で,処方実績を過度に強調している印象を受けた。 なお,このデータには日本では上市されていない配合剤のデータも含まれていた。
ポイント
データの算出根拠を示さないことで,使用状況を誇大に見せている。

(4)他社製品の誹謗に関する事例

本剤のバイオシミラーにとって不利益となる情報提供を積極的に行った事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による情報提供
内容
企業担当者より,問い合わせも行っていないにもかかわらず,「本剤のバイオシミラーが海外で承認されなかった」との情報提供を受けた。なお,その詳細に関する情報は「入手していない」とのことであった。同様の事例は複数のモニター医療機関から報告されており,他にも以下のような情報提供があった。 バイオシミラーが外挿によって適応取得しており,臨床試験が少ないことを強調するような説明。 バイオシミラーが先行バイオ医薬品と「同等/同質」ではあるが,「同一」ではないことを強調するような説明。 「既に先行バイオ医薬品を使用している患者については,バイオシミラーに切り替えることはできない」との説明(切り替え自体は禁止されていない)。 本剤とは無関係である別の製品のバイオシミラーに対する,「効果は疑問である」「精製が悪い」といった発言。
ポイント
本剤のバイオシミラー(及びバイオシミラー一般)にとって不利益となる情報提供を積極的かつ広範に行った。