安全性に関連する事例

出典・現行資料の確認:2026年10月11日
2019〜2025年度報告書の疑義報告事例のうち,本サイトでこのテーマに分類した35項目をすべて詳細解説しています。2016〜2018年度の既掲載11件と合わせ,本ページの詳細解説は46項目です。

全テーマ・各年度の一覧:2019〜2025年度の疑義報告事例132項目。すべての項目から詳細解説と原報告書の該当ページへ進めます。

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事例を読む際の留意点

以下は,販売情報提供活動の適切性について疑義が報告され,報告書で取り上げられた事例です。各事例が裁判で違法と確定したことを意味するものではありません。事例中の効能・効果,用法・用量,添付文書の記載,処方日数制限等は当時の状況に関する記述であり,現在の製品情報として利用しないでください。現在の添付文書,RMP等はPMDAの医療用医薬品情報検索で確認できます。

現在の審査・研修で確認したい点

  • 電子化された添付文書,審査報告書,医薬品リスク管理計画(RMP),適正使用ガイドの最新版と,資材・口頭説明が整合しているか確認する。
  • 有効性の説明と併せて必要な安全性情報を提供する。副作用の頻度だけでなく,評価対象からの除外,対象患者,重症度,中止例等も確認する。
  • 「一過性」「使いやすい」「安全性に問題はない」等の表現が,警告・禁忌・重要なリスクや,投与前後に必要な確認を過小評価させていないか確認する。

詳しい要件は,販売情報提供活動ガイドライン(2018年9月25日)及び厚生労働省の関連通知・Q&A一覧で確認してください。

初期の出典と最新報告へのリンク

調査事業の概要と最新年度の結果/販売情報提供活動ガイドラインの解説

2019〜2025年度の疑義報告事例(35項目)

対象は各年度報告書の「(1)疑義報告事例」です。本サイトのテーマ分類に該当する全項目を,医薬品の種類・情報提供活動や資材・内容・ポイント・出典の順で解説しています。年度は掲載報告書の年度であり,発生年度とは限りません。厚生労働省公表報告書を基に本サイトが要約・編集したもので,「筆者整理」は報告書の記載と区別した審査・研修上の確認観点です。同一年度の同一事例は1項目にまとめ,関連する番号を出典に残しています。

2025年度(令和7年度)掲載報告書

説明範囲を誤解して安全性の質問にも十分に答えない
医薬品の種類
眼科用剤
問題のあった情報提供活動・資材
新薬採用に際しての薬剤師とMRのオンライン個人面談
内容

新薬採用に際して薬剤師と面談したMRは、第Ⅲ相試験の有効性だけを説明した。薬剤師が別の試験の副作用発現率について質問すると、MRは主要評価項目以外は説明できないとの認識を示した。そのうえで、他社製品との副作用発現率は比較できないため、本剤のほうが高いとはいえないと回答した。報告書は説明できる情報範囲への理解不足の可能性と、安全性を積極的に説明しない偏りを指摘している。

ポイント

筆者整理:主要評価項目以外の結果を一律に説明できないと扱わず、情報の根拠と限界を確認して安全性も提供できるよう研修する。試験間の発現率を直接比較できない場合も、その限界の説明と自社製品の安全性情報の提供を両立させ、回答困難な質問は適切な部門へ引き継ぐ。

2024年度(令和6年度)掲載報告書

血中濃度の特徴だけから副作用が少ないと説明
医薬品の種類
中枢神経系用薬
問題のあった情報提供活動・資材
MRと上司が同席した対面の製品説明
内容

上司同席の説明で、MRが血中濃度のピークが緩やかな剤形だから錠剤より副作用が少ないと説明した。医療者が根拠を尋ねるとデータはないと回答し、後に相談窓口からもそのような比較データはないとの説明を受けた。報告書は、審査報告書に示された副作用結果と異なる印象を与える根拠のない説明として取り上げている。

ポイント

筆者整理:薬物動態のグラフから臨床的な安全性の優位を直接結論づけていないか、比較試験や審査資料と照合する。上司の同席を含む面談の監督手順を整え、根拠のない説明を把握した場合はその場の訂正、医療者への追補、社内の説明内容の統一まで確認する。

国内部分集団の安全性に触れず有効性だけを説明
医薬品の種類
循環器官用薬
問題のあった情報提供活動・資材
薬剤科内の対面製品説明会
内容

20分程度の院内説明で、MRが国際共同試験の心血管・腎複合エンドポイントのリスク低下を紹介した。一方、報告書は、日本人部分集団の腎不全イベントに関する懸念から一旦承認が見送られ、注意喚起等を条件に承認された経緯と添付文書の記載を挙げ、これらの説明がなかったと指摘している。全体集団の有効性だけが伝えられた疑義事例である。

ポイント

筆者整理:全体集団と国内部分集団の結果を分けて審査し、肯定的な結果と注意事項を一連の説明で伝えられるか確認する。承認条件や電子添文に照らして重要なリスク説明の省略がないか点検し、質疑への応答も記録する。現在の審査には現行資料を使い、当時の記載をそのまま現在の製品情報として扱わない。

小児の増量を案内して根拠と安全性の説明を欠く
医薬品の種類
代謝性医薬品
問題のあった情報提供活動・資材
MRの直接対面による説明・インタビューフォームの提供
内容

MRは小児患者の投与量制限が緩和され、30mgまで投与できると伝えたが、その背景や安全性の情報を説明しなかった。医療従事者が根拠データと安全性情報を求めても、その場では回答できなかった。約2週間後にMRが再訪した際も、該当箇所に付箋を貼ったインタビューフォームの提供にとどまった。増量の理由は同資料に記載されていた一方、添付文書の副作用も改訂されていたことから、報告書は安全性を併せて提供する必要性を指摘している。

ポイント

筆者整理:用量変更を知らせる際は、その根拠、対象患者、変更後の注意事項と安全性データを一体で説明できるか確認する。資材を渡しただけで質問への回答が完了したと扱わず、未回答事項の追補と説明内容を記録して管理する。

2023年度(令和5年度)掲載報告書

メールの比較で相互作用と禁忌の情報を選別
医薬品の種類
抗ウイルス剤
問題のあった情報提供活動・資材
MRによるメール一斉配信の製品紹介
内容

メールの比較グラフでは、どちらの薬剤を選んでも違いがない部分が元資料から削除されていた。薬物相互作用の表も、自社品の多くの情報を省きながら他社品を抜粋し、本剤の方が使いやすい印象を与えた。禁忌の具体的な条件を示さず、幅広い背景の患者での効果や多剤服用患者での使いやすさにも言及した。同一事例が②-2・③-9・⑥-4・⑦-4に掲載されている。

ポイント

筆者整理:メール本文の短い訴求と添付図表を一緒に審査し、比較に不利な部分や禁忌の省略がないか原資料と照合する。多剤服用者や多様な患者に使えるという表現が、併用禁忌・注意や投与対象の制限まで否定する印象になっていないか確認する。

比較試験なしに免疫原性と過敏症の優位性を説明
医薬品の種類
鉄欠乏性貧血治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
オンラインでの企業担当者による説明
内容

院内ヒアリングで担当者は、本剤は他社製品より免疫原性が低く、過敏症も起こりにくいと説明した。比較した免疫原性試験の資料を求めると、その試験は実施しておらず、該当資料もないと後日回答した。同一事例が③-1と⑦-1に掲載されている。

ポイント

筆者整理:免疫原性の特徴と、製品間で過敏症の発生率が異なるという主張を分けて検証する。比較対象・試験方法を確認できない状態で安全性の優位性を説明せず、根拠がないと判明した際は先の説明も訂正する。

根拠のない切替換算量を示し必要なモニタリングを省く
医薬品の種類
高カリウム血症改善剤
問題のあった情報提供活動・資材
直接対面での企業担当者による医師への説明
内容

担当者は本剤が他社製品よりカリウム値を下げると説明し、切替時の換算量も示したが、両方の説明に根拠が見当たらなかった。安全性の観点から必要なカリウム値のモニタリングも説明しなかった。同一事例が③-6と⑥-1に掲載されている。

ポイント

筆者整理:薬剤間の切替換算量は、単純な作用や数値の比較だけで設定できるものとして扱わず、根拠と承認用法を確認する。有効性を説明する際には、必要な検査・観察も併せて提供し、値が大きく下がることだけを利点として強調しない。

副作用の国内外差を医師の報告姿勢で説明
医薬品の種類
抗悪性腫瘍剤
問題のあった情報提供活動・資材
直接対面での企業担当者による薬剤部への説明
内容

担当者は日本人の治験で副作用の報告が外国人より多い理由を、日本の医師がまじめで多く報告するためと説明した。科学的根拠は示されず、審査報告書にある国内外の安全性の差や投与時の注意も踏まえていなかった。

ポイント

筆者整理:副作用の発生数の違いは、評価方法、患者背景、曝露条件等の確認を経て説明する。国内外差を文化や担当者の印象だけで片付けず、審査報告書にある注意事項を現場の説明資料・教育に反映する。

体重減少に関するリスクを利点の側から紹介
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
直接対面での企業担当者による説明
内容

規格が多い理由を尋ねられ,担当者は抗肥満での使用を想定し,海外では高用量の規格を使っていると説明した。質問されていない,当時国内未承認の抗肥満の効能について,申請中であることにも言及した。報告書は,体重減少に関連する安全性を重要な潜在的リスクとして挙げ,降圧作用とともに安全性情報として扱うべきだと整理している。

ポイント

筆者整理:国内の承認適応と海外の用途・申請状況を区別し、規格の説明から未承認の使用へ誘導していないか確認する。体重減少等の変化を利点として紹介する場合は、RMP上の位置付けや必要な安全性情報が抜けていないか点検する。

安全性評価の脂質変化を治療効果として説明
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
直接対面での企業担当者によるスライド・説明
内容

参考情報の有効性評価項目と記載したスライドを示し,担当者は当時の承認内容を超えて,本剤が糖尿病だけでなく脂質にも効果を持つと説明した。審査報告書では,その脂質への影響は心血管イベントリスクに関連する安全性情報として評価されており,有効性としての評価ではなかった。

ポイント

筆者整理:検査値の変化が、有効性と安全性のどちらの目的で評価されたかを原資料で確認する。参考情報や評価項目という表示だけで治療効果の根拠に読み替えず、説明する効能と承認範囲の整合も点検する。

2022年度(令和4年度)掲載報告書

医師の意見だけで他剤より副作用が少ないと説明
医薬品の種類
その他の呼吸器官用薬
問題のあった情報提供活動・資材
オンラインでの企業担当者による説明
内容

担当者は大学病院の医師の意見として、投与回数や薬剤伝達技術による血中濃度の違いから、本剤は他社製品より副作用が出にくいと説明した。質問されていない中で他社製品名を挙げ、比較データはないと断りながら安全性の優位性を訴求した。同一事例が③-2と⑥-1に掲載されている。

ポイント

筆者整理:医師の意見を紹介する場合も、製品間の安全性の差を裏付けるデータがあるか確認する。参考情報との断り書きだけに頼らず、薬物動態や投与法から副作用の優劣を推論する表現を見直す。

日本人での効果に関する注意を初回説明から省く
医薬品の種類
その他の循環器官用薬
問題のあった情報提供活動・資材
薬事委員会のためのオンライン企業ヒアリング
内容

電子添文には日本人で腎不全への進展抑制効果が弱い可能性が記載されていたが、十分な時間が確保されたヒアリングで担当者はこの点に触れなかった。医療関係者から質問されて初めて、当初の一連の説明とは別のスライドで日本人部分集団のデータを示した。審査報告書には、日本人集団で優越性を示せなかった背景も記載されていた。

ポイント

筆者整理:効果に関する限界や電子添文の注意も、初回説明で提供する情報として組み込む。有利な全体結果と不確実な部分集団の結果を別資料に分ける場合は、後者が質問の有無で省略されないよう管理する。

動物試験から低いリスクを訴求しRMPを説明しない
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
薬剤部向けオンライン説明会のスライド・口頭説明
内容

本剤の動物試験のグラフを示し、スライドにない他剤群の乳酸上昇にも口頭で触れて、本剤は乳酸アシドーシスのリスクが少ないことが期待されると説明した。一方、RMPでは乳酸アシドーシスが重要な潜在的リスクとされており、その安全性情報を併せて提供しなかった。

ポイント

筆者整理:動物試験を紹介する場合も、患者での安全性の結論と混同されないよう対象と限界を明示する。スライドにない比較情報を口頭で付け加えていないか確認し、RMP上のリスクも併せて説明する。

投与速度の上限削除だけを説明し残る注意を省く
医薬品の種類
先天性代謝異常症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
使用上の注意改訂に関する対面説明
内容

担当者は、従来の投与速度の上限に関する文言が削除され、上限がなくなったと説明した。質問への回答では海外試験や改訂の経緯を補足したが、電子添文には初回の低い投与速度と、忍容性を確認して徐々に速める注意が残っていた。削除された文言だけでは、安全性上の条件がないような誤解を招く説明だった。

ポイント

筆者整理:改訂説明では、削除部分だけでなく、変更されずに残る用法関連の注意を併せて確認する。投与条件を自由に変更できるような印象を与えないよう、試験条件・現行電子添文・説明台本の整合を点検する。

2021年度(令和3年度)掲載報告書

異なる試験の比較から出血リスクの優位性を断定
医薬品の種類
血液凝固阻止薬
問題のあった情報提供活動・資材
オンライン面談での企業担当者による説明
内容

担当者は本剤が他剤より出血リスクの面で有意に安全であると説明した。しかし、参照された治療ガイドラインの比較はA剤を介したもので、各試験の患者背景や設計も異なり、薬剤間の直接比較ではなかった。

ポイント

筆者整理:直接比較と間接比較を区別し、各試験の背景・評価方法の違いを確認する。統計的な有意差を示すかのような表現が、実際の解析内容を超えた安全性の断定になっていないか点検する。

未解明の死亡リスクを増加しないと説明
医薬品の種類
その他の代謝性医薬品
問題のあった情報提供活動・資材
WEBで提供された文書・オンライン面談
内容

添付文書改訂の案内文書で、特定の心血管事象や悪性腫瘍等に関連した死亡リスクが増加しない旨を記載した。確認すると、担当者は現時点でリスクが明確になっていないためそう記載したと回答し、検証試験は実施中だった。リスクが増加しないことを示す根拠はなかった。

ポイント

筆者整理:未解明、未評価、リスクが否定された状態を区別して記述する。安全性の改訂案内では、不確実な事項を安心させる断定表現に変えず、確認済みの情報と検証中の情報を明示する。

半割のデータがない錠剤を半錠にできると説明
医薬品の種類
不眠症薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による医師への説明・薬剤部への電話
内容

割線のない錠剤について、担当者は医師と薬剤部に半錠にできると説明し、無包装・粉砕後等の安定性情報を根拠に挙げた。一方、企業のコールセンターは半錠のデータがないと回答し、企業ホームページでは半割投与を勧めていなかった。別資料にも半割・粉砕後の有効性と安全性は未検討と記載されていた。

ポイント

筆者整理:安定性のデータが、半割後の含量均一性や有効性・安全性まで検証したものかを区別する。現場担当者、問い合わせ窓口、公開資料の回答を統一し、適用できない試験条件から使用可能と推論していないか確認する。

Hbの上昇が緩やかだから血栓リスクが低いと説明
医薬品の種類
腎性貧血治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による説明
内容

担当者はヘモグロビン(Hb)値の上昇が緩やかであることを理由に、血栓塞栓症のリスクが低いと説明した。臨床試験で血栓塞栓症が少ないという事実はなく、競合品よりリスクが低いと受け取られる説明だった。

ポイント

筆者整理:代替指標の変化から臨床上の安全性を結論付ける場合、その関係を検証した根拠を確認する。作用や血液検査値の特徴だけで、具体的な有害事象の発生率や他剤との安全性差を推論していないか点検する。

異なる第Ⅲ相試験を並べて帯状疱疹が少ないと説明
医薬品の種類
関節リウマチ治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による説明・説明スライド
内容

異なる第Ⅲ相試験の結果を比較し、本剤の帯状疱疹の発生率が他の同効薬より低いと強調した。担当者は直接比較ではないと前置きしたが、優位性の説明を続けた。本剤のRMPでは帯状疱疹が重要な特定されたリスクに挙げられていた。

ポイント

筆者整理:直接比較ではないとの注記だけで、比較の妥当性や受け手の誤認が解消されるとは限らない。試験条件の違いとRMP上のリスクを確認し、比較表示と口頭説明全体から安全性が過小評価されないか審査する。

安全性を主目的とする試験の副次的な有効性を先に提示
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
製品パンフレット・医療者向けウェブサイト・インタビューフォーム
内容

長期併用療法の第Ⅲ相試験は安全性を主要評価項目とし、症例数もその評価に合わせて設定されていた。パンフレットは、副次評価項目の有効性の結果を冒頭に置き、主要な安全性の結果を後に示した。同じ掲載順が企業サイトの資料・動画やインタビューフォームにも見られた。

ポイント

筆者整理:試験の主目的、症例数設定、評価項目の位置付けに合わせて結果の掲載順と見出しを審査する。安全性の検証用に設計された試験から有効性を強く訴求していないか確認し、共通原稿を使う媒体全体も見直す。

2020年度(令和2年度)掲載報告書

RMPの潜在的リスクを問題ないと説明
医薬品の種類
鉄欠乏性貧血治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
メール・電話での企業担当者による説明
内容

医療機関が特定の疾患のリスクを質問したところ、担当者は有害事象が認められていないため臨床的に問題ないと回答した。その疾患は、医薬品リスク管理計画(RMP)で重要な潜在的リスクに位置付けられていた。

ポイント

筆者整理:事象が観察されていないことと、リスクが否定されたことを区別して説明する。RMPの分類、根拠、不確実性を回答資料に反映し、安全性部門と現場の説明内容が一致しているか確認する。

副作用がなかった試験から他剤より安全と説明
医薬品の種類
腎性貧血治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
オンライン面談での企業担当者による説明
内容

担当者は国内臨床試験で副作用が認められなかった点を強調し、本剤は他剤より安全であると説明した。他剤と安全性を比較したデータはなかった。

ポイント

筆者整理:一つの試験で副作用が観察されなかった結果は、その試験の対象・規模・期間に即して説明する。他剤より安全という結論に拡張していないか、安全性の比較根拠と既知のリスクを併せて確認する。

有害事象がなかったことだけで高い安全性を説明
医薬品の種類
DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
対面面談での企業担当者による資料提供
内容

臨床試験で有害事象が認められなかったことを理由に、本剤は安全性が高いと説明された。報告書では、当該試験の結果だけで高い安全性を説明した点が取り上げられている。

ポイント

筆者整理:安全性を示す表現は、試験の対象患者数、観察期間、評価方法に見合う範囲に限定する。有害事象が未観察であることをリスクの不存在と同一視せず、既知の注意事項や不足している情報も示す。

2019年度(令和元年度)掲載報告書

限定的な検証から腎障害患者の安全性を訴求
医薬品の種類
抗リウマチ薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者の持ち帰り資料
内容

企業担当者の持ち帰り資料には、腎障害があっても安全に使用できるという趣旨の記載があった。しかし、第Ⅲ相臨床試験では腎障害患者が除外されており、腎障害時の薬物動態も単回投与でしか検証されていなかった。十分な検証がない患者群について、安全性を説明した点が問題とされた。

ポイント

筆者整理:対象患者の安全性を訴求する際は、試験に含まれた患者群と、投与回数・期間を確認する。単回投与の薬物動態から反復投与時の安全性まで一般化していないかを点検し、未検証の範囲も説明したい。

医師アンケートだけで副作用の少なさを説明
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
院内製品説明会での企業学術担当者による口頭説明
内容

以前にMRから他製品より副作用が少ないと聞いた医師が、院内の説明会でその根拠を尋ねた。学術担当者は、他製品と直接比較したデータはないとしながら、医師アンケートでは副作用が少ないと回答した。論文になっていないアンケートの結果だけで、他剤より安全性が優れているように説明した事例である。

ポイント

筆者整理:比較を伴う安全性の説明では、直接比較の有無、調査方法、対象者、評価項目を確認する。医師の印象やアンケートを、患者で検証された副作用発現率の差として受け取らせないよう、資料と回答例を審査したい。

リスクの注意喚起があるのに改善可能性を強調
医薬品の種類
腎性貧血治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MRによる口頭説明
内容

臨床試験では、既存薬の治療抵抗例に対する有用性が十分に検証されていなかった。また、本剤のRMPと適正使用ガイドには血栓症のリスクに関する注意喚起があった。それにもかかわらず、MRは既存薬に比べ、治療抵抗例や血栓症のリスクを改善できる可能性があると説明した。

ポイント

筆者整理:改善の可能性を述べる場合も、対象患者で何が検証されているか、比較の根拠があるかを確認する。RMPなどの注意喚起と併せて説明全体を見直し、可能性という言葉で重要なリスクが小さく見える構成になっていないか審査したい。

小さな差や担当者の経験で安全性を軽く説明
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
MRによる口頭説明
内容

全有害事象の発生率は既存薬と同じで、重い副作用の発現率の差も小さかったが、MRは重い副作用が少ない傾向を理由に本剤が優れていると説明した。併用注意がある相互作用についても、自分が相談を受けた経験がないため、あまり注意しなくてよいと述べた。血液毒性が類薬より多い点には、呼吸器科の医師は他の抗がん剤で慣れているので大きな問題ではないと説明した。

ポイント

筆者整理:安全性の比較では、全体の発現状況と個別の重症度を分け、差の大きさに見合った説明か確認する。担当者の相談経験や診療科の慣れはリスクの小ささの根拠にはならないため、併用時の注意や血液毒性への対応を弱める表現を点検したい。

投与後の日数を入退院に読み替え副作用減少を訴求
医薬品の種類
利尿剤
問題のあった情報提供活動・資材
MRによる口頭説明・提供資料
内容

MRは使用成績調査の結果を用い、入院時より退院後の方が副作用が少なくなると説明した。しかし、資料が示すのは投与後の日数であり、入院中と退院後を比較した調査ではなかった。担当者が投与初期を入院中、その後を退院後と読み替え、口渇以外の副作用の発現時期にはばらつきがあるのに、副作用全体が減るかのように説明した事例である。

ポイント

筆者整理:資料に記録された分類と、口頭で説明する分類が一致しているか確認する。一つの副作用で見られた発現時期の傾向を副作用全体に広げず、入退院など調査で測定していない条件に読み替えて結論を出していないか審査したい。

薬理学的な違いだけで副作用が少ないと断定
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品紹介パンフレット、MRによる口頭説明
内容

MRは他剤と直接比較した試験がないと断りながら、サブユニットからの解離半減期の違いを理由に、本剤の方が副作用が少ないと断定した。報告書が参照する審査報告書では、本剤と比較対象の主な有害事象の種類と発現割合は同程度とされていた。作用機序上の説明から、患者での安全性の差を断定した点が問題とされた。

ポイント

筆者整理:作用機序や薬理特性の違いと、臨床で確認された安全性の差は分けて説明する。比較試験がない旨を添えるだけでなく、審査資料の結果と結論が整合しているか、薬理学的な説明が臨床上の優位性へ飛躍していないか確認したい。

広い対象患者の訴求と肺炎リスクの説明不足
医薬品の種類
COPD治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
プレゼンテーション用スライド、企業担当者による口頭説明
内容

MRが提示したスライドには、喘息を合併するCOPD患者を広く本剤の対象とする趣旨の記載があった。報告書は、一部の患者では肺炎リスクの増加を考慮して使用が推奨されない場合があるとしている。しかし、MRの口頭説明ではその副作用についての説明がなく、有効性に偏った情報提供として取り上げられた。

ポイント

筆者整理:対象患者を広く示す表現を使う際は、使用を慎重に判断すべき患者や安全性上の条件が同じ説明の中で伝わるかを確認する。スライドの記載だけでなく、口頭で説明するリスク、患者選択の留意点、質疑への回答まで含めて確認する。

高齢者への有効性を強調したWeb講習会
医薬品の種類
慢性便秘症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上のWeb講習会
内容

Web講習会で、高齢者の自発排便回数の改善を示し、高齢者の治療での使用を促す説明が行われた。一方、報告書によると、当時の審査報告書、添付文書、インタビューフォームでは、高齢者の安全性情報が十分でなく、副作用に注意した観察が必要とされていた。講習会は、こうした安全性情報が不十分なまま、高齢者への有効性を強調した事例として掲載されている。

ポイント

筆者整理:高齢者など特定の患者集団の有効性を紹介する際は、その集団の安全性データの限界と、使用時に必要な観察事項を併せて確認する。Web講習会の台本や画面表示も点検し、効能を訴求する部分と注意事項を説明する部分の内容・時間配分が、受講者の判断に必要な情報を届ける構成になっているかを確認する。

競合品のRMPを理由に軽く扱った自社品のリスク
医薬品の種類
腎性貧血治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容

添付文書とRMPに記載された悪性腫瘍のリスクについて質問を受けたMRが、競合品のRMPにも同様の記載があると回答した。そのうえで、自社品のRMPの記載も大きな影響はないという趣旨の説明を行った。報告書は、他剤を持ち出して自社品のリスクを軽く扱った情報提供として掲載している。

ポイント

筆者整理:RMPに記載されたリスクの説明では、自社品について何が判明し、何が未確定なのか、どのような対応が必要なのかを製品ごとに確認する。他剤に似た記載があることだけを、自社品のリスクが小さい根拠にしていないか、質問への想定回答と担当者の理解を点検する。

短時間だけの安全性表示
医薬品の種類
抗アレルギー薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業サイト上のWeb講習会
内容

企業サイト上で配信された20分のWeb講習会では、本剤の対象患者や、インタビューフォームにある重要な基本的注意事項への言及がなかった。禁忌や慎重投与などの安全性情報は、最後のスライドで添付文書を約10秒間映す形でしか示されていなかった。有効性に偏り、安全性を十分に説明しなかった疑義事例として掲載された。

ポイント

筆者整理:配信前に視聴者の立場で講習全体を確認し、安全性を理解するために必要な説明と表示時間が確保されているか点検する。添付文書を映すだけで必要事項が伝わるか、対象患者、禁忌、使用時の注意が視聴者に分かる構成になっているかを確認したい。

配布したRMP資材について説明しなかった製品説明会
医薬品の種類
パーキンソン病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による提供資料(製品説明会)
内容

製品説明会で、MRは総合製品情報概要を投影し、開発の経緯、薬理作用、臨床成績などを説明した。総合製品情報概要に加えて、RMPに基づく適正使用ガイドや患者説明資材も配布されていた。しかし、本剤のリスク最小化計画で予定していた資材に関する説明がなく、安全性情報の説明が不足していたと報告されている。

ポイント

筆者整理:資材を配布した事実と、リスク最小化計画に沿った情報提供を実施したことを分け、製品ごとの計画に必要な説明や支援が含まれているかを確認する。RMPの説明内容は、その製品・説明機会で必要な安全性情報と資材の使い方を具体的に定め、実施状況を点検する。

対象患者とRMPに沿った安全性情報の説明不足
医薬品の種類
慢性心不全治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による提供資料(製品説明会)
内容

製品説明会で、治療の利益とリスクを判断するために必要な、対象患者や潜在的なリスクについての説明が不足していた。RMPのリスク最小化計画に定められた内容の実施も不十分で、安全性に関する必要な説明が行われなかった事例として報告されている。

ポイント

筆者整理:製品説明会の内容を確認する際は、有効性データだけでなく、どの患者で使用を検討するのか、どのリスクに注意するのかを受講者が判断できるかを確認する。RMPに基づく活動を説明会の資料・台本・実施記録に落とし込み、製品ごとの計画に沿って必要な情報が提供されたかを点検する。

2016〜2018年度の既掲載事例

高用量使用時の副作用を「一過性である」と説明して安全性を軽視した事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画
内容
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画中で,本剤の高用量使用に伴う副作用(肝障害)について,ALT の上昇を認めたとしつつも,「一過性で慣れがある」と説明していた。また,十分なエビデンスがないため臨床上は応用されていない別の新規バイオマーカーの上昇と相関しなかったことから,「ALTの上昇は副作用を直接反映するものではない」と結論付けていた。 原著論文を調べたところ,ALT の上昇が著しく,脱落となった例が複数あり,「一過性である」とは言い難い。なお添付文書にも,高用量使用に対する警告が記載されている。
ポイント
十分に注意すべき副作用を「一過性である」等とし,安全性を軽視した。
製品説明において,2 度にわたり安全性に関する情報提供を怠った事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
製品説明時に2 度にわたり,企業担当者が有効性に関する説明のみを行い,安全性に関する情報提供を行わなかった。本剤は,最適使用推進ガイドラインが発出されており,製薬企業からも特定の疾患に関して適正使用が強く勧められている薬剤であるため,安全性の軽視と思われた。
ポイント
2 度にわたり安全性に関する情報提供を怠った。
添付文書やRMP に記載のある重要な注意事項を軽視し,適切な情報提供を怠った事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事
内容
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事において,配合剤である本剤の特徴として,一方の薬剤の効果である「腎機能の程度によらずHbA1c 低下作用があること」のみが記載されており,本剤の添付文書で注意喚起されている「腎機能障害患者への投与」に関する記載がなかった。また,RMP において重要なリスクとされている多尿・頻尿について,「服用後数日で症状が軽減されるため,飲水指導は投与後1 週間で問題ない」という趣旨の記載があり,安全性を軽視した記事と思われた。
ポイント
添付文書やRMP に記載のある重要な注意事項を軽視し,適切な情報提供を怠った。
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨した事例
医薬品の種類
緑内障・高眼圧症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
新薬ヒアリング時に,新薬の14 日処方制限のため患者の来院間隔と合わず採用が困難であることを伝えたところ,企業担当者より「1 本処方すれば1 か月は使用できるので,1か月ごとの来院間隔でも可能である」との説明を受けた。
ポイント
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨した。
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨し,安全性についても偏った説明を行った事例
医薬品の種類
慢性便秘症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
企業主催の勉強会において,新薬である本剤の処方日数制限について尋ねたところ,企業担当者より「本剤は投与量を増量できるため,適宜調節すれば長期投与も可能」との説明があった。 また,同じ企業担当者より「小児領域で副作用が少ない有用な薬剤であり,医師に勧めてほしい」との発言もあったが,本剤は薬価収載に伴う留意事項として「他の便秘症治療薬で効果不十分な場合に,器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症の患者へ使用すること」とされており,この点については説明がなかった。既知の成分であり,安全性の知見はあるものの,情報提供としては偏っていると考えられた。
ポイント
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨し,安全性についても偏った説明を行った。
RMP に記載されているリスクを認識せずにプロモーションを行った事例
医薬品の種類
抗ウイルス薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明)
内容
審査報告書に「**機能障害の患者に投与した場合の安全性について情報収集し,医療現場に提供する必要がある」という趣旨の記載があるにも関わらず,製品説明会においてX 社MR は,**機能に障害があったとしても安全に使用できると受け取れるような説明を行った。 当該医薬品は,**機能によって投与量を調節する必要がないことが特徴であるが,医薬品リスク管理計画(RMP)には**機能障害が重要な潜在的リスクとして挙げられており,医療関係者に**機能障害の可能性があることの情報提供を行うと記載されている。 モニター医療機関の医療関係者は,他剤との併用で**機能障害の発現や重篤化につながることを懸念したが,MR はこれらの自社製品のリスクを認識しないまま安全性を軽視した説明を行っていた。製品説明においてRMP の内容を理解せず,必要な情報提供を怠ることは安全性上問題があると思われる。
ポイント
副作用や安全性に関する理解・情報提供が十分でない。
高頻度の副作用を除外した臨床試験結果をもとに安全性をPR した事例
医薬品の種類
潰瘍性大腸炎治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明・スライド・パンフレット)
内容
Y 社の製品説明会において,MR が「自社製品の副作用発現症例数は全体の10%程度」という説明を行った。この説明会に参加していたモニター医療機関の医療関係者は,副作用が少ないという印象を受けたため,添付文書を確認したところ,臨床試験では約55%に副作用が認められているとの記載があった。 あらためてパンフレットとスライドを見ると,副作用の項目で紹介されていた第Ⅲ相試験では,添付文書で主な副作用として記載されている“***の血中濃度減少”を,盲検性の点で医師に開示しなかったため,有害事象の評価対象外としたとの注釈が書かれていた。 第Ⅲ相試験の副作用のみを紹介された場合には,あたかも副作用の発生頻度が低い印象を受けてしまうが,説明時にMR からの自発的な説明はなかった。 また,“***の血中濃度減少”に関連する事象についてはRMP の重要な潜在的リスクに記載があったものの,MR は,血中濃度の推移を示すグラフを用いて「投与を中止すれば,減少した***は回復するので使用できる」という表現で説明を行い,リスクについて触れることはなかった。
ポイント
副作用を過小評価するような情報のみ提供している。
慎重投与の対象患者について,安全性を軽視したPR を行った事例
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
Z 社MR は,当該医薬品について「**機能が低下している患者にも使いやすい」と説明を行った。しかし,**機能に障害のある患者は,添付文書では慎重投与の対象になっており,薬物動態の項目にも正常者よりも血中濃度が高かったと記載されていた。 **機能が低下している患者は用量や副作用についてモニタリングに注意が必要と考えられたので,MR に発言の真意を尋ねたところ,「従来薬と比較して使いやすい」という意図であったとの説明を受けた。比較対象を示すことなく,使いやすさのみをPR していたため,安全性について誤解を生じかねない事例であった。
ポイント
配慮が必要な患者について安全性を誇大に見せている。
使用上の注意を十分に認識せずにプロモーションを行った事例
医薬品の種類
骨粗鬆症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明)
内容
M 社の骨粗鬆症治療薬の添付文書では,使用上の注意として,必要に応じてカルシウム及びビタミンD を補給する旨や,血清カルシウム値の変動に注意する旨が記載されていた。しかし,モニター医療機関で医師向けに行われた勉強会で,説明を行ったM 社のMR は,血清カルシウム値の測定は必須ではないと認識しており,参加した医師はDI 室に対して投与後の測定等は必要ないかどうかの問合せをした。この他,他のモニター医療機関では,M 社のMR が当該医薬品について「急性期の副作用がなければ慢性期の副作用はない」といった趣旨の発言をしていたという報告もあった。
ポイント
副作用や安全性に関する理解・情報提供が十分でない。
禁忌があるにもかかわらず,投与前のスクリーニングを不要とPRした事例
医薬品の種類
乾癬治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品情報概要
内容
N 社の当該医薬品は動物実験で胚胎児毒性があったことから,添付文書には禁忌として,妊婦又は妊娠している可能性のある女性の記載があった。また,腎機能障害においても用 量調節が必要とされているため,適正使用ガイドにおいては投与開始前の確認事項として8 項目のチェックリストが作成されていた。 このような投与前の確認事項がありながら,製品情報概要では製品特性の一つとして,投与前のスクリーニングや投与中の臨床検査及び血中濃度測定を必要としない旨の記載があった。投与前のスクリーニングが必要にもかかわらずこのような表記をすることは,重大な副作用や医療事故につながる恐れがある。
ポイント
禁忌及び投与前のスクリーニングと整合しない安全性を軽視したプロモーションを行っている。
副作用事例があるにもかかわらず,安全性には問題がないとPRした事例
医薬品の種類
高血圧治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
モニター医療機関の医療関係者が,未採用の当該医薬品についてO 社のMR から説明を受けた際に,添付文書や医薬品リスク管理計画(重要な特定されたリスク・重要な潜在的リスク)で副作用事項が挙がっているにもかかわらず,「当該医薬品への切り替えでは安全性はまったく問題ありません」とのコメントがあった。
ポイント
副作用や安全性を軽視したプロモーションを行っている。

Cases concerning safety information

Sources and current guidance checked: 11 October 2026
This is an English overview of selected historical examples. The Japanese page contains the detailed case descriptions.

Japanese detailed coverage: 35 groups from the FY2019–FY2025 reported-case index are now explained in Japanese on this topic page, alongside 11 earlier entries (46 total). The English version continues to provide selected summaries. All 132 groups across the five topics link to detailed Japanese commentary through the annual index.

Complete annual reported-case index (FY2019–FY2025; 132 groups): the index links every group to its corresponding detailed Japanese commentary.

Browse by report year: FY2025(1) / FY2024(1) / FY2023(1) / FY2022(1) / FY2021(1) / FY2019(1) / FY2016–FY2018

How to read these cases

This page combines earlier FY2016–FY2018 examples with 6 selected additions from FY2019, FY2021, FY2022, FY2023, FY2024, FY2025 reports published by MHLW. They concern reported questions about promotional practice and are not presented as court findings. Product information, doses and restrictions in the historical descriptions reflect the circumstances at the time; check current approved information before using them. See PMDA prescription-drug information search (Japanese) for current product documents.

Added examples from later reports (6)

Years identify the reports, not necessarily when the events occurred. These are selected summaries. Review points are the author's observations, separate from report findings. Source links specify the corresponding PDF page.

FY2025 report

Safety discussion restricted

Report summary: An MR avoided safety discussion, citing a mistaken restriction on non-primary endpoints.

Author's review point: Review training on permissible information and escalation procedures for unanswered safety questions.

Source: FY2025 report (Japanese), printed p. 43; case ⑤-1; PDF page 47

FY2024 report

Dose-change safety

Report summary: The MR communicated a pediatric dose increase without explaining its safety or basis.

Author's review point: Review dose-change messaging alongside updated warnings, supporting data and spoken explanations.

Source: FY2024 report (Japanese), printed p. 38; case ⑤-2; PDF page 42

FY2023 report

Incomplete safety in emails

Report summary: Promotional email selectively compared interactions and omitted contraindication details while suggesting broad effectiveness.

Author's review point: Review email comparisons against complete source tables and applicable contraindications.

Source: FY2023 report (Japanese), printed p. 41; case ⑥-4(②-2・③-9・⑦-4と同一事例); PDF page 45

FY2022 report

Incomplete infusion update

Report summary: Removal of an infusion rate limit was explained without adequately describing retained precautions.

Author's review point: Review retained precautions alongside deleted wording when explaining label revisions.

Source: FY2022 report (Japanese), printed p. 41; case ⑤-3; PDF page 45

FY2021 report

Secondary efficacy foregrounded

Report summary: A diabetes-drug brochure reportedly foregrounded secondary efficacy results from a trial designed around a primary safety endpoint, raising concerns about emphasis.

Author's review point: Identify each trial's purpose and ensure presentation order reflects endpoint hierarchy.

Source: FY2021 report (Japanese), printed p. 43; case ⑥-3; PDF page 47

FY2019 report

Brief safety display in online training

Report summary: An online allergy-drug course reportedly addressed safety only through a brief final display of the package insert, without explaining precautions.

Author's review point: Review the complete recording and check that safety information remains understandable.

Source: FY2019 report (Japanese), printed p. 47; case ⑥-4; PDF page 51

Earlier selected examples (FY2016–FY2018)

Minimised adverse effects

A video described liver-related findings at high doses as temporary despite clinically important findings in the source evidence.

Efficacy without safety

A representative repeatedly explained efficacy without supplying necessary safety information.

Ignored risk-management information

An explanation overlooked important precautions in the label and risk management plan.

Points for current review and training

  • Compare material and oral explanations with the latest electronic label, assessment report, risk management plan and proper-use materials.
  • Review the population and exclusions underlying an adverse-event rate, as well as severity and discontinuations.
  • Check whether reassuring wording obscures warnings, contraindications or necessary monitoring.

See the MHLW guideline of 25 September 2018 (Japanese) and the official guideline and Q&A index (Japanese) for the complete requirements.

Earlier sources and the latest survey

Survey overview and latest results / Guide to promotional-information requirements