安全性に関連する事例

高用量使用時の副作用を「一過性である」と説明して安全性を軽視した事例
医薬品の種類
鎮痛薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画
内容
医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画中で,本剤の高用量使用に伴う副作用(肝障害)について,ALT の上昇を認めたとしつつも,「一過性で慣れがある」と説明していた。また,十分なエビデンスがないため臨床上は応用されていない別の新規バイオマーカーの上昇と相関しなかったことから,「ALTの上昇は副作用を直接反映するものではない」と結論付けていた。 原著論文を調べたところ,ALT の上昇が著しく,脱落となった例が複数あり,「一過性である」とは言い難い。なお添付文書にも,高用量使用に対する警告が記載されている。
ポイント
十分に注意すべき副作用を「一過性である」等とし,安全性を軽視した。
製品説明において,2 度にわたり安全性に関する情報提供を怠った事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
製品説明時に2 度にわたり,企業担当者が有効性に関する説明のみを行い,安全性に関する情報提供を行わなかった。本剤は,最適使用推進ガイドラインが発出されており,製薬企業からも特定の疾患に関して適正使用が強く勧められている薬剤であるため,安全性の軽視と思われた。
ポイント
2 度にわたり安全性に関する情報提供を怠った。
添付文書やRMP に記載のある重要な注意事項を軽視し,適切な情報提供を怠った事例
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事
内容
医療関係者向け情報サイト上の座談会記事において,配合剤である本剤の特徴として,一方の薬剤の効果である「腎機能の程度によらずHbA1c 低下作用があること」のみが記載されており,本剤の添付文書で注意喚起されている「腎機能障害患者への投与」に関する記載がなかった。また,RMP において重要なリスクとされている多尿・頻尿について,「服用後数日で症状が軽減されるため,飲水指導は投与後1 週間で問題ない」という趣旨の記載があり,安全性を軽視した記事と思われた。
ポイント
添付文書やRMP に記載のある重要な注意事項を軽視し,適切な情報提供を怠った。
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨した事例
医薬品の種類
緑内障・高眼圧症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
新薬ヒアリング時に,新薬の14 日処方制限のため患者の来院間隔と合わず採用が困難であることを伝えたところ,企業担当者より「1 本処方すれば1 か月は使用できるので,1か月ごとの来院間隔でも可能である」との説明を受けた。
ポイント
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨した。
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨し,安全性についても偏った説明を行った事例
医薬品の種類
慢性便秘症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による口頭説明
内容
企業主催の勉強会において,新薬である本剤の処方日数制限について尋ねたところ,企業担当者より「本剤は投与量を増量できるため,適宜調節すれば長期投与も可能」との説明があった。 また,同じ企業担当者より「小児領域で副作用が少ない有用な薬剤であり,医師に勧めてほしい」との発言もあったが,本剤は薬価収載に伴う留意事項として「他の便秘症治療薬で効果不十分な場合に,器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症の患者へ使用すること」とされており,この点については説明がなかった。既知の成分であり,安全性の知見はあるものの,情報提供としては偏っていると考えられた。
ポイント
新薬の処方日数制限に反する使用方法を勧奨し,安全性についても偏った説明を行った。
RMP に記載されているリスクを認識せずにプロモーションを行った事例
医薬品の種類
抗ウイルス薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明)
内容
審査報告書に「**機能障害の患者に投与した場合の安全性について情報収集し,医療現場に提供する必要がある」という趣旨の記載があるにも関わらず,製品説明会においてX 社MR は,**機能に障害があったとしても安全に使用できると受け取れるような説明を行った。 当該医薬品は,**機能によって投与量を調節する必要がないことが特徴であるが,医薬品リスク管理計画(RMP)には**機能障害が重要な潜在的リスクとして挙げられており,医療関係者に**機能障害の可能性があることの情報提供を行うと記載されている。 モニター医療機関の医療関係者は,他剤との併用で**機能障害の発現や重篤化につながることを懸念したが,MR はこれらの自社製品のリスクを認識しないまま安全性を軽視した説明を行っていた。製品説明においてRMP の内容を理解せず,必要な情報提供を怠ることは安全性上問題があると思われる。
ポイント
副作用や安全性に関する理解・情報提供が十分でない。
高頻度の副作用を除外した臨床試験結果をもとに安全性をPR した事例
医薬品の種類
潰瘍性大腸炎治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明・スライド・パンフレット)
内容
Y 社の製品説明会において,MR が「自社製品の副作用発現症例数は全体の10%程度」という説明を行った。この説明会に参加していたモニター医療機関の医療関係者は,副作用が少ないという印象を受けたため,添付文書を確認したところ,臨床試験では約55%に副作用が認められているとの記載があった。 あらためてパンフレットとスライドを見ると,副作用の項目で紹介されていた第Ⅲ相試験では,添付文書で主な副作用として記載されている“***の血中濃度減少”を,盲検性の点で医師に開示しなかったため,有害事象の評価対象外としたとの注釈が書かれていた。 第Ⅲ相試験の副作用のみを紹介された場合には,あたかも副作用の発生頻度が低い印象を受けてしまうが,説明時にMR からの自発的な説明はなかった。 また,“***の血中濃度減少”に関連する事象についてはRMP の重要な潜在的リスクに記載があったものの,MR は,血中濃度の推移を示すグラフを用いて「投与を中止すれば,減少した***は回復するので使用できる」という表現で説明を行い,リスクについて触れることはなかった。
ポイント
副作用を過小評価するような情報のみ提供している。
慎重投与の対象患者について,安全性を軽視したPR を行った事例
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
Z 社MR は,当該医薬品について「**機能が低下している患者にも使いやすい」と説明を行った。しかし,**機能に障害のある患者は,添付文書では慎重投与の対象になっており,薬物動態の項目にも正常者よりも血中濃度が高かったと記載されていた。 **機能が低下している患者は用量や副作用についてモニタリングに注意が必要と考えられたので,MR に発言の真意を尋ねたところ,「従来薬と比較して使いやすい」という意図であったとの説明を受けた。比較対象を示すことなく,使いやすさのみをPR していたため,安全性について誤解を生じかねない事例であった。
ポイント
配慮が必要な患者について安全性を誇大に見せている。
使用上の注意を十分に認識せずにプロモーションを行った事例
医薬品の種類
骨粗鬆症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR によるプレゼンテーション(口頭説明)
内容
M 社の骨粗鬆症治療薬の添付文書では,使用上の注意として,必要に応じてカルシウム及びビタミンD を補給する旨や,血清カルシウム値の変動に注意する旨が記載されていた。しかし,モニター医療機関で医師向けに行われた勉強会で,説明を行ったM 社のMR は,血清カルシウム値の測定は必須ではないと認識しており,参加した医師はDI 室に対して投与後の測定等は必要ないかどうかの問合せをした。この他,他のモニター医療機関では,M 社のMR が当該医薬品について「急性期の副作用がなければ慢性期の副作用はない」といった趣旨の発言をしていたという報告もあった。
ポイント
副作用や安全性に関する理解・情報提供が十分でない。
禁忌があるにもかかわらず,投与前のスクリーニングを不要とPRした事例
医薬品の種類
乾癬治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
製品情報概要
内容
N 社の当該医薬品は動物実験で胚胎児毒性があったことから,添付文書には禁忌として,妊婦又は妊娠している可能性のある女性の記載があった。また,腎機能障害においても用 量調節が必要とされているため,適正使用ガイドにおいては投与開始前の確認事項として8 項目のチェックリストが作成されていた。 このような投与前の確認事項がありながら,製品情報概要では製品特性の一つとして,投与前のスクリーニングや投与中の臨床検査及び血中濃度測定を必要としない旨の記載があった。投与前のスクリーニングが必要にもかかわらずこのような表記をすることは,重大な副作用や医療事故につながる恐れがある。
ポイント
禁忌及び投与前のスクリーニングと整合しない安全性を軽視したプロモーションを行っている。
副作用事例があるにもかかわらず,安全性には問題がないとPRした事例
医薬品の種類
高血圧治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による口頭説明
内容
モニター医療機関の医療関係者が,未採用の当該医薬品についてO 社のMR から説明を受けた際に,添付文書や医薬品リスク管理計画(重要な特定されたリスク・重要な潜在的リスク)で副作用事項が挙がっているにもかかわらず,「当該医薬品への切り替えでは安全性はまったく問題ありません」とのコメントがあった。
ポイント
副作用や安全性を軽視したプロモーションを行っている。