その他の事例

出典・現行資料の確認:2026年10月11日
2019〜2025年度報告書の疑義報告事例のうち,本サイトでこのテーマに分類した9項目をすべて詳細解説しています。2016〜2018年度の既掲載3件と合わせ,本ページの詳細解説は12項目です。

全テーマ・各年度の一覧:2019〜2025年度の疑義報告事例132項目。すべての項目から詳細解説と原報告書の該当ページへ進めます。

掲載報告書の年度で探す:2025年度(1項目) / 2024年度(2項目) / 2023年度(1項目) / 2022年度(2項目) / 2020年度(1項目) / 2019年度(2項目) / 2016〜2018年度

事例を読む際の留意点

以下は,販売情報提供活動の適切性について疑義が報告され,報告書で取り上げられた事例です。各事例が裁判で違法と確定したことを意味するものではありません。事例中の効能・効果,用法・用量,添付文書の記載,処方日数制限等は当時の状況に関する記述であり,現在の製品情報として利用しないでください。現在の添付文書,RMP等はPMDAの医療用医薬品情報検索で確認できます。

現在の審査・研修で確認したい点

  • 適正使用に必要な情報の入手方法,提供までの時間,問い合わせ窓口を確認する。社内秘・同意手続等を理由として,必要な情報提供が妨げられていないか検討する。
  • 守秘義務契約が一律に違法とされるわけではない。情報の性質,安全確保の必要性,契約の範囲,提供を遅らせる影響を具体的に確認する。
  • 患者向け資料の「唯一」等の表現について,対象疾患,剤形,評価項目等の限定が明確か,他の治療に効果がないとの誤解を生じさせないか確認する。

詳しい要件は,販売情報提供活動ガイドライン(2018年9月25日)及び厚生労働省の関連通知・Q&A一覧で確認してください。

初期の出典と最新報告へのリンク

調査事業の概要と最新年度の結果/販売情報提供活動ガイドラインの解説

2019〜2025年度の疑義報告事例(9項目)

対象は各年度報告書の「(1)疑義報告事例」です。本サイトのテーマ分類に該当する全項目を,医薬品の種類・情報提供活動や資材・内容・ポイント・出典の順で解説しています。年度は掲載報告書の年度であり,発生年度とは限りません。厚生労働省公表報告書を基に本サイトが要約・編集したもので,「筆者整理」は報告書の記載と区別した審査・研修上の確認観点です。同一年度の同一事例は1項目にまとめ,関連する番号を出典に残しています。

2025年度(令和7年度)掲載報告書

教育入院が未決定の病院に自社製品名入りのパスを作成
医薬品の種類
甲状腺・副甲状腺ホルモン剤
問題のあった情報提供活動・資材
院内チーム向け説明会でのMRの口頭説明・クリニカルパス配布
内容

MRは院内の骨粗鬆症チームに、他院の教育入院の取組を紹介した。他院では他剤も対象だったが、最初の説明は本剤だけが対象のように聞こえる内容で、質問後に他剤も対象だと回答した。訪問先では教育入院を始めることが未決定だったにもかかわらず、MRはその病院用のクリニカルパスを作成し配布した。他院の5日間から3日間に変えたパスには本剤の商品名が記載され、本剤の導入を誘導するように受け取れる内容だった。

ポイント

筆者整理:施設向け診療支援資料は、院内の検討・承認の経緯、作成主体、製品名を載せる必要性まで確認する。他院の取組を紹介する場合も対象薬や実施条件を正確に示し、採用や診療体制の判断を自社製品へ誘導する内容になっていないか審査する。

2024年度(令和6年度)掲載報告書

経過措置終了後に旧様式の添付文書を載せた資材を配布
医薬品の種類
漢方製剤
問題のあった情報提供活動・資材
2024年下期の院内製品説明会・製品説明資材
内容

2024年下期の院内製品説明会で、MRが旧様式の添付文書の内容を掲載した資材を配布した。報告書では、2019年4月の記載要領改訂に伴う5年間の経過措置は、2024年3月31日に終了していたとされている。終了後も旧様式を掲載した資材を運用していたことが、資材を適宜更新・修正する観点から問題となった。

ポイント

筆者整理:資材の版、作成日、参照した添付文書の更新日を管理し、制度改正や記載要領変更の期限を更新計画へ反映する。改訂時は中央の原稿だけでなく、現場在庫、配布用データ、再利用する説明資料まで点検し、旧版を使い続ける経路を減らす。

講演資料の審査・配信・訂正が不十分だった事例
医薬品の種類
アレルギー用薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業主催講演会の説明スライド・演者作成資料の配信
内容

企業主催講演で医師の演者が,短時間投与や少量の長期投与など承認外の投与方法を繰り返し紹介し,根拠を示さずに他社品からの切替の安全性や自社品の利点を説明した。講演資料や承認外の使用方法を載せた資料が,監督部門の審査を経ないまま希望者に配信されていた。事案把握後も受講者全員への訂正が行われず,資料を受け取った人への説明も不十分だったと報告されている。報告書は,審査時間や複層的な確認体制,部門間の記録,当日のモニタリングなどの問題を併せて整理している。

ポイント

筆者整理:演者の資料提出期限を審査・修正ができる日程に設定し、承認済みの最終版だけを講演と配信に使う手順を明確にする。スライド、口頭説明、追加資料をまとめて確認し、判断や部門間の相談を記録して後日照合できるようにする。問題を把握した場合は、講演参加者と資料受領者の範囲を確認し、訂正・再発防止が届くまで追跡する。

2023年度(令和5年度)掲載報告書

調査データがない他社抗菌薬の耐性化を示唆
医薬品の種類
耳鼻科用剤
問題のあった情報提供活動・資材
オンライン新薬ヒアリングでの企業担当者による説明
内容

担当者は他領域での抗菌薬の使われ方や耳鼻科領域の耐性化に触れ、他社製品にも同じ懸念があると説明した。確認すると、その製品は耳鼻科領域の感受性調査の対象になっておらず、抗菌活性の経時変化を正確に把握できないという回答だった。同一事例が③-2と⑦-2に掲載されている。

ポイント

筆者整理:領域全体の傾向を、データのない特定製品の耐性化に結び付けていないか確認する。調査対象の薬剤、診療領域、菌種、期間を明示し、情報がないことを他社製品への不利益な推測の根拠にしない。

2022年度(令和4年度)掲載報告書

未確認の治験の違いから他剤への優位性を示唆
医薬品の種類
糖尿病治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業のWEB製品説明会での質疑応答
内容

本剤の慢性腎臓病に関する開発状況を質問され、担当者は進行中の治験には他剤の試験で含まれない腎硬化症の患者が入り、実態により近いと説明した。確定診断の方法を問われると把握していないと回答し、比較説明の根拠を確認できていなかった。同一事例が③-9と⑥-3に掲載されている。

ポイント

筆者整理:開発状況への質問に答える場合は、確認された試験計画と公開情報の範囲を把握する。対象集団の違いを説明する際も、未確認の前提から他社の試験や製品を低く評価せず、不明点は確認して追補する。

骨代謝の概念図から臨床上の優位性を説明
医薬品の種類
骨粗鬆症治療剤
問題のあった情報提供活動・資材
院内の宣伝許可に先立つ企業担当者から薬剤部への説明
内容

担当者は概念図を示し、骨代謝への作用の時間的な特徴や骨吸収を過度に起こさないことを理由に、本剤が他剤より優れていると説明した。引用されたレビュー論文の図は3薬剤の骨代謝効果の期間を概念的に整理したもので、臨床効果を直接示すデータではなかった。

ポイント

筆者整理:レビュー論文に図があることと、その図だけで臨床的優位性を裏付けられることを区別する。概念図の説明を臨床効果の比較に進める場合は、元となる試験の対象、評価項目、結果まで確認する。

2020年度(令和2年度)掲載報告書

倍量処方による処方日数制限の回避を提案
医薬品の種類
不眠症治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による医師への口頭説明
内容

上市後の処方日数制限に対し、承認された1日上限量の半量に当たる錠剤を2錠ずつ14日分処方すれば、実質的に28日分を確保できると提案した。処方量を調整して日数制限を回避する営業上の説明が問題となった。

ポイント

筆者整理:処方日数・投与量に関する案内では、制度上の制限と個別の処方を混同せず、現行の取扱いを確認する。患者の使用実態に合わない倍量処方を営業上の便宜で勧める説明が、想定問答や現場指導に含まれていないか点検する。

2019年度(令和元年度)掲載報告書

倍量処方による制限回避
医薬品の種類
鎮痛剤
問題のあった情報提供活動・資材
MRによる医師への口頭説明
内容

報告書では、本剤は薬事承認後1年以内で、長期処方ができない薬剤とされている。MRは医師に、倍量の処方によって実質14日分以上の処方が可能だという趣旨を説明した。当時の処方期間の制限を処方量で回避できると案内した疑義事例である。

ポイント

筆者整理:処方支援の説明では、その時点で適用される処方期間のルールと、承認された用法・用量を確認する。日数の制限を処方量で回避する提案になっていないか、患者に案内する服用方法との整合も含めて点検したい。

企業主催講演会での演者による過度な製品宣伝
医薬品の種類
輸液類全般(特定の製品ではない)
問題のあった情報提供活動・資材
企業主催の講習会・講演会
内容

企業が主催する講演会で、演者が主催企業の製品を過度に宣伝した事例である。報告書の対象分類は輸液類全般であり、特定の製品に関する事例として掲載されたものではない。

ポイント

筆者整理:企業主催の講演では、演者への依頼時に情報提供の目的や留意事項を伝え、スライドと実際の発言が根拠に沿った内容かを確認する。演者の発言を含めた講演全体について、主催企業の製品への過度な誘導がないかを確認し、必要な修正や事後の対応を行う運用を整える。

2016〜2018年度の既掲載事例

臨床上必要な安定性データの提供に守秘義務契約が求められた事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による情報提供
内容
AA 社の抗がん剤は保存剤を含んでいないため,投与時間を含め15 時間以内に希釈液を投与することとされている。初回投与時は希釈後の液量が1000ml と大量になるうえ,投与速度に規定があるため,問題がなくても7 時間近くかかってしまう。 さらに,有害事象としてinfusion reaction が起こった場合は投与を中断し,状況に応じてinfusion reaction 発現時の半分以下の投与速度で投与を再開することができると規定されており,最終的に投与終了時点で15 時間を超えてしまう可能性が想定された。 そのため,AA 社に対し15 時間までの安定性の具体的なデータの提供を依頼したところ,社内秘データであり,守秘義務契約を締結しなければ提供できないとの回答であった。 臨床上必要であるデータにもかかわらず手続きを経なければ情報提供ができない点は製薬企業の情報提供として問題があるのではないかと思われた。
ポイント
臨床上必要な情報提供については,医療関係者に提供することが必要。
適正使用ガイドの提供に同意書が求められた事例
医薬品の種類
C 型肝炎治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による情報提供
内容
BB 社のMR に,当該医薬品の適正使用ガイドのデータ提供を求めたところ,利用にあたり同意書の提出を要求された。適正使用ガイドであるにも関わらず,利用や入手に制限を設けることは不適切であると思われた。なお,ホームページには適正使用ガイドを参考にするような文言の記載があったが,ダウンロードページには該当データが掲載されていなかった。
ポイント
臨床上必要な情報提供については,医療関係者に提供することが必要
他剤の効果がないように誤認させる,生存期間等を延長する“唯一の医薬品”と記した事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
患者向け服用ハンドブック(2015 年2 月作成)
内容
R 社が作成している,ある抗がん剤の患者向け服用ハンドブックの中に「服用により,生存期間や病気が進行するまでの期間を延長する効果が科学的に認められている唯一のお薬です」との説明があり,モニター医療機関の医療関係者はハンドブックを読んだ患者から,「この医薬品を使うまでの治療は何のために行っていたのか」との質問を受けた。 当該医薬品の服用に至るまで治療期間が長い患者もいるため,それまでの治療に対する不信感を生みかねない内容といえる。 確かに当該医薬品は特定の疾患に対する経口薬としては唯一の薬剤であるが,ハンドブックの記載では,当該医薬品ががん全般に対する唯一の治療法であり,他の治療は科学的に治療効果が認められないとの誤解を患者に与えかねないものであった。
ポイント
有効性が示された方法や効果の範囲の限定が十分でない中で“唯一の薬”と表現すること で,患者に他剤の効果がないような事実誤認を与えかねない。

Other historical information-provision cases

Sources and current guidance checked: 11 October 2026
This is an English overview of selected historical examples. The Japanese page contains the detailed case descriptions.

Japanese detailed coverage: 9 groups from the FY2019–FY2025 reported-case index are now explained in Japanese on this topic page, alongside 3 earlier entries (12 total). The English version continues to provide selected summaries. All 132 groups across the five topics link to detailed Japanese commentary through the annual index.

Complete annual reported-case index (FY2019–FY2025; 132 groups): the index links every group to its corresponding detailed Japanese commentary.

Browse by report year: FY2025(1) / FY2024(1) / FY2022(1) / FY2019(1) / FY2016–FY2018

How to read these cases

This page combines earlier FY2016–FY2018 examples with 4 selected additions from FY2019, FY2022, FY2024, FY2025 reports published by MHLW. They concern reported questions about promotional practice and are not presented as court findings. Product information, doses and restrictions in the historical descriptions reflect the circumstances at the time; check current approved information before using them. See PMDA prescription-drug information search (Japanese) for current product documents.

Added examples from later reports (4)

Years identify the reports, not necessarily when the events occurred. These are selected summaries. Review points are the author's observations, separate from report findings. Source links specify the corresponding PDF page.

FY2025 report

Product-linked clinical pathways

Report summary: The hospital had not decided on educational admission when an MR supplied a pathway naming its product.

Author's review point: Review authorship, purpose, product references and sales involvement in hospital decisions.

Source: FY2025 report (Japanese), printed p. 48; case ⑦-1; PDF page 52

FY2024 report

Outdated materials

Report summary: Materials reproduced outdated prescribing-information formatting after the transitional period had already ended.

Author's review point: Manage versions and review field stock and distributed materials after revisions.

Source: FY2024 report (Japanese), printed p. 42; case ⑦-2; PDF page 46

FY2022 report

Conceptual superiority claims

Report summary: A conceptual bone metabolism diagram was used to claim clinical superiority over competitors.

Author's review point: Separate conceptual mechanisms from clinical outcomes when reviewing comparative claims.

Source: FY2022 report (Japanese), printed p. 45; case ⑦-1; PDF page 49

FY2019 report

Bypassing a prescription-duration restriction

Report summary: An MR reportedly suggested doubled prescription quantities to extend analgesic coverage beyond the prescription-duration restriction applicable at that time.

Author's review point: Review prescribing-support advice against approved use and the rules then applicable.

Source: FY2019 report (Japanese), printed p. 50; case ⑧-1; PDF page 54

Earlier selected examples (FY2016–FY2018)

Access to stability data

A hospital requested stability data needed for clinical use, but provision was made conditional on a confidentiality agreement.

Access to a proper-use guide

A representative required a consent form before supplying a proper-use guide that was not available for download.

An overbroad “only” claim

A patient booklet used wording that could suggest that other cancer treatments lacked scientifically established benefit, without adequate limits on the claim.

Points for current review and training

  • Review access to information needed for proper use, including the response time and enquiry route.
  • The historical case does not establish that every confidentiality agreement is unlawful. Assess the information, safety needs, agreement scope and effect of any delay.
  • For patient-facing claims such as “only”, check that the disease, formulation and outcome limitations are clear.

See the MHLW guideline of 25 September 2018 (Japanese) and the official guideline and Q&A index (Japanese) for the complete requirements.

Earlier sources and the latest survey

Survey overview and latest results / Guide to promotional-information requirements