その他の事例

臨床上必要な安定性データの提供に守秘義務契約が求められた事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
MR による情報提供
内容
AA 社の抗がん剤は保存剤を含んでいないため,投与時間を含め15 時間以内に希釈液を投与することとされている。初回投与時は希釈後の液量が1000ml と大量になるうえ,投与速度に規定があるため,問題がなくても7 時間近くかかってしまう。 さらに,有害事象としてinfusion reaction が起こった場合は投与を中断し,状況に応じてinfusion reaction 発現時の半分以下の投与速度で投与を再開することができると規定されており,最終的に投与終了時点で15 時間を超えてしまう可能性が想定された。 そのため,AA 社に対し15 時間までの安定性の具体的なデータの提供を依頼したところ,社内秘データであり,守秘義務契約を締結しなければ提供できないとの回答であった。 臨床上必要であるデータにもかかわらず手続きを経なければ情報提供ができない点は製薬企業の情報提供として問題があるのではないかと思われた。
ポイント
臨床上必要な情報提供については,医療関係者に提供することが必要。
適正使用ガイドの提供に同意書が求められた事例
医薬品の種類
C 型肝炎治療薬
問題のあった情報提供活動・資材
MR による情報提供
内容
BB 社のMR に,当該医薬品の適正使用ガイドのデータ提供を求めたところ,利用にあたり同意書の提出を要求された。適正使用ガイドであるにも関わらず,利用や入手に制限を設けることは不適切であると思われた。なお,ホームページには適正使用ガイドを参考にするような文言の記載があったが,ダウンロードページには該当データが掲載されていなかった。
ポイント
臨床上必要な情報提供については,医療関係者に提供することが必要
他剤の効果がないように誤認させる,生存期間等を延長する“唯一の医薬品”と記した事例
医薬品の種類
抗がん剤
問題のあった情報提供活動・資材
患者向け服用ハンドブック(2015 年2 月作成)
内容
R 社が作成している,ある抗がん剤の患者向け服用ハンドブックの中に「服用により,生存期間や病気が進行するまでの期間を延長する効果が科学的に認められている唯一のお薬です」との説明があり,モニター医療機関の医療関係者はハンドブックを読んだ患者から,「この医薬品を使うまでの治療は何のために行っていたのか」との質問を受けた。 当該医薬品の服用に至るまで治療期間が長い患者もいるため,それまでの治療に対する不信感を生みかねない内容といえる。 確かに当該医薬品は特定の疾患に対する経口薬としては唯一の薬剤であるが,ハンドブックの記載では,当該医薬品ががん全般に対する唯一の治療法であり,他の治療は科学的に治療効果が認められないとの誤解を患者に与えかねないものであった。
ポイント
有効性が示された方法や効果の範囲の限定が十分でない中で“唯一の薬”と表現すること で,患者に他剤の効果がないような事実誤認を与えかねない。